2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461695
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
武藤 正彦 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40175625)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 膿疱性乾癬 / 遺伝子素因 / IL36RN遺伝子 / CARD14遺伝子 / マラセチア菌叢解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ゲノム解析による膿疱性乾癬遺伝子素因の全体像の解明 膿疱性乾癬の患者群を2群に分類した。尋常性乾癬が先行する膿疱性乾癬のタイプと、最初から膿疱性乾癬として発症するタイプである。後者ではサイトカインのIL-1の分泌を負に制御するIL36RN遺伝子に変異が有意に高頻度でみられるのに対し、前者の場合はCARD14遺伝子と称される遺伝子に変異が生じ、結果として好中球を活性化してしまうことになってしまうことが推測された。すなわち、膿疱性乾癬とひと言でいってはいるが、その発症の遺伝学的メカニズムは異なるものであることを証明した(J.Invest.Dermatol.,134:1755-1757,2014)。この事実は、本症の治療戦略を策定していくにあたり、両群で治療応答性に差が出る可能性があることを示唆する。 2.マラセチア菌叢解析による膿疱性乾癬発症の環境因子の探索 乾癬患者の皮膚病変部には一体どのような病原微生物が生息しているのかを知るために、今回真菌に限って調べたところ、マラセチア(特にMalassezia restricta)がカンジダ等他の真菌類より有意に多く生息していることを明らかにした(J.Dermatol.,42:166-170,2015)。 以上のとおり、平成26年度の研究成果(1及び2)から、膿疱性乾癬の発症には少なくとも二つの異なる疾患感受性遺伝子(IL36RN及びCARD14)が存在すること及び乾癬病変部皮膚にはマラセチアが多く生息していることが明らかとなり、本症の根本的な治療法の開発への手掛かりを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた乾癬疾患感受性遺伝子群の高次構造解析および機能解析を行い、膿疱性乾癬の発症に寄与する主遺伝子にはインターロイキン36抑制遺伝子とCARD14遺伝子の2種類が存在することを同定し、環境要因として次世代高速DNAシーケンサーを用いた真菌の網羅的解析から、乾癬病巣皮膚ではマラセチアの菌種が健常者皮膚より多様化していることを明らかにした。この結果はマラセチア(特にM. restricta)が宿主の免疫応答に係っていることを示唆している。 また、上記の研究成果を論文および学会発表の形式で世界に発信することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
膿疱性乾癬患者群の臨床情報(治療への反応性)と疾患感受性遺伝子群(IL36RNおよびCARD14)の観点から層別化した解析を行い、疾患感受性遺伝子の意義を検討する。 次に、環境因子としてマラセチアを候補に挙げているので、マラセチアが疾患感受性遺伝子の機能発現にどのような影響を及ぼしているかを実験的に検討することで、疾患感受性遺伝子が膿疱性乾癬の遺伝素因を規定する全体像を明らかにしていく。
|
-
-
-
-
[Presentation] 乾癬の物理方程式を解く2014
Author(s)
武藤 正彦
Organizer
第29回日本乾癬学会
Place of Presentation
高知市文化プラザ かるぽーと(高知市)
Year and Date
2014-09-19 – 2014-09-20
Invited
-