2014 Fiscal Year Research-status Report
再プログラム因子導入による間葉上皮移行の誘導と癌浸潤の制御
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25461698
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10303223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺石 美香 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40437736)
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70314995)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (80273621)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | がん制御 / 間葉-上皮移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年までに研究に用いた有棘細胞癌4株に加えて、新たにヒト有棘細胞癌株OSC-19に再プログラミング因子を導入した。OSC-19細胞はヌードマウスの舌内に移植すると移植部での腫瘍の増大に加えて所属リンパ節へ効率に転移することが知られている。再プログラミング因子を導入したOSC-19は、親株細胞に比べて、上皮系分化マーカーの発現が増加していた。電子顕微鏡による検討では、親細胞では見られなかったデスモソームの形成が確認された。これらより再プログラミング因子によりOSC-19においても間葉上皮移行が誘導されたことが示された。この細胞をヌードマウス舌内に移植したが、移植部での腫瘍増殖能およびリンパ節への転移能が親細胞に比して減じていることが明らかになった。従って、in vitroのみならずin vivoの研究によって、有棘細胞癌は再プログラミング因子の導入により間葉上皮移行が誘導され、その悪性度が減弱することが示された。 近年の研究により、microRNA (miRNA)が細胞の機能制御に関わっていることが示されていることから、再プログラミング因子の導入による間葉上皮移行にmicroRNA (miRNA)がどのように関わっているのか検討した。HOC313細胞をこの検討に用いた。再プログラミング因子の導入により5種類のmiR-200 family (miR-200a, -200b, -200c, -141 and -429)とmiR-203およびmiR-205が増加していることが明らかとなった。これらは、ZEB2、SNAI1およびSNAI2を減少させて、CDH1の発現増加に関わっている可能性がある。 また、再プログラミング因子の導入によるメチル化の変化が間葉上皮移行に及ぼす影響ついても検討を行った。しかしながら、少なくともCDH1を含む間葉上皮移行に関わる幾つかの遺伝子においては、メチル化の変化を捉えることが出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再プログラミング因子の導入による癌悪性度の減弱化をin vivoで示すことが出来たことは大変意義が大きい。miRNAと間葉上皮移行との関与についての検討は、その分子メカニズムの一端を更に詳細に明らかにすることが出来た。年度当初予定していたMET誘導関連遺伝子の探索については十分な検討が行えなかったため、次年度に行うこととする
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はMET誘導関連遺伝子として候補となった2種のnon-coding RNAと6種類の転写因子の機能解析を行う。これらはいずれも再プログラミング因子の導入により発現が上昇したものである。一過性の発現系による検討とともにPiggybac transposon vectorにより安定発現細胞を樹立してMETの誘導能を確認する。
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Research Products
(1 results)