Outline of Annual Research Achievements |
メラノーマ細胞において, インターフェロン-beta (IFN-β) によりエピジェネテイック抑制を受けるアポトーシス関連miRNA を同定する目的で以下の研究を行った。DNA脱メチル化剤5-aza-2’-cytidine (5-aza-dC) の存在下でIFN-βによるアポトーシスが誘導されるメラノーマ細胞株TXM18を用いて, 細胞死に関係するmiRNAを網羅的に解析した。その結果, 発現抑制と上流配列のメチル化を認めたmiR-7, miR-203, miR-215, miR-596を含む6種類のmiRANAを同定した。そのうちmiR-596は, 検討した20株のメラノーマ細胞株すべてにおいて上流配列に高レベルのメチル化を認めた。外科切除したメラノーマと色素性母斑におけるmir-598のメチル化レベルを比較検討した結果, メラノーマは色素性母斑に比べてメチル化のレベルが優位に高かった。さらに, miR-596の前駆体をメラノーマ細胞にトランスフェクトした結果, メラノーマ細胞の増殖が強く抑制された。以上の結果は, 5-aza-dC + IFN-βによるメラノーマ細胞の増殖抑制の少なくとも一部は, miR-596の誘導が関与することが示唆された。日本人メラノーマの発癌と進展に関係する細胞遺伝子を同定する目的で, 足底メラノーマ患者の原発腫瘍, リンパ節転移, 末梢血リンパ球のセットよりそれぞれDNAを精製し, 次世代シーケンスによる解析を行った。その結果, 原発腫瘍と転移腫瘍に共通に認められる変異遺伝子11種類を同定した。サンガー法で確認した結果, FLT3 とNF1にアミノ酸変化を伴う同一の変異を認めたことより, これら遺伝子が本症例のドライバー変異と考えられた。現在, 外科切除したメラノーマ組織を用いて解析を進めている。
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