2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461709
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
津田 英利 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (30414923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | IL-33 / ケラチノサイト / 細胞増殖 / 細胞内動態 / 乾癬 |
Research Abstract |
ケラチノサイトにおけるIL-33の働きを調べるために、ケラチノサイト内で発現しているIL-33をsiRNAを用いてノックダウン(KD)を試みた。細胞を継代する際にsiRNAを導入することにより、効率よくIL-33をKDすることが出来た。そうすると、コントロールと比較して、細胞の形状に異常を生じ、細胞数が減少していた。MTTアッセイ並びにBrdUアッセイにより検討を行った結果、MTTアッセイでは有意な差がつくほどでは無かったが、BrdUアッセイでは有意にKDした細胞で低くなった。そこで、アポトーシスやネクローシス等の細胞死ではないと考え、FACSによる細胞周期の解析を行った。IL-33をノックダウンした細胞ではG2/M期の細胞が有意に増えていた。そこで、IL-33をKDしたケラチノサイトとコントロールのケラチノサイトのRNAを抽出し、DNAマイクロアレイによって、遺伝子発現変動を検出することを試みた。現在はマイクロアレイのデータを解析している途中である。その一方で、qRT-PCRによる解析も別途行った。細胞増殖に変化をきたし、かつ細胞形態の変化が見られることから、ケラチノサイトの分化が促進されているのでは無いかと考え、ケラチンを含めたケラチノサイトの分化マーカー遺伝子の発現を比較した。その結果、KDしたケラチノサイトでは、多くの分化マーカーの発現が上昇していた。 また申請者が以前見つけた、IL-33のスプライシングバリアントの発現ベクターを構築した。発現ベクターはIL-33のC末端にV5及びFlagタグを付け、IL-33本体の抗体、並びにこれらTag抗体でも認識出来るように構築した。これらを293細胞にトランスフェクションした結果、核移行シグナルがあるExon 3とExon4をそれぞれ欠損したバリアントでは細胞質内に発現が見られ、それ以外のバリアントでは核内で発現が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画の中で、IL-33をKDした時の細胞の状態の観察、MTT, BrdUを用いた増殖アッセイ、などについての検討は予定通り行うことが出来た。これに伴い、FACSによる細胞周期の解析も行うことが出来、IL-33ノックダウンで起こる現象を捉えることが出来た。また、トランスクリプトーム解析についてはデータ所得を行うことは出来たが、データ解析の途中までであり、完全に結果を解析はできずにいる。しかし、別の観点からではあるが、qRT-PCRを用いた一部の遺伝子発現解析を行い、コントロール群とノックダウン群の比較を行うことが出来た。トランスクリプトームの解析が進めば、これらの結果と併せてさらに詳しい検討が出来るものと期待している。 IL-33のスプライシングバリアントの発現ベクターについては、IL-33抗体で認識できる各種ベクターを構築することが出来、それらが核移行シグナルの有無による予想された細胞局在をすることが確認できた。本年度は293細胞での発現と局在観察をするに留まったが、ケラチノサイトにもトランスフェクションが可能であり、局在も293細胞と同様であることが確認出来た。 また一部先行して、IL-33のプロモーター領域をクローニングしたルシフェラーゼプラスミドを構築し、ケラチノサイトでの動態を解析することが出来た。一部計画に遅れはあるものも、別の実験で先行しているものもあるもので、概ね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
ケラチノサイトにおいて、IL-33をノックダウンすると、細胞周期がG2/M期のいずれかで止まり、細胞増殖に異常が起こることが判ったが、細胞死に差が無いと言うことは完全に証明されていない。そこで、一部予定を変更して、IL-33をノックダウンした時に細胞死に差があるか否か、AnnexinV染色等を用いて検討する予定である。また、IL-33のノックダウンの影響がG2期かM期か、それともその両方に影響するのか、G2期のマーカーであるHistoneH3のリン酸化やM期のマーカーであるCyclinA2の染色とDNAの染色を併せて、FACSでの解析を行い、細胞増殖期のどこにフォーカスするのかを見極め、IL-33との相互作用も含めて、どの分子の関与が大きいのか検討を行うこととする。 また前年度から引き続き、コントロール細胞をとIL-33ノックダウン細胞での遺伝子発現解析を行い、IL-33により影響を受ける遺伝子の検索とその意義について引き続き検討を行う。 プロモーター解析は、予定通りにルシフェラーゼのコンストラクトを構築し、順次ケラチノサイトにトランスフェクションを行い、刺激に対する反応などから転写因子の同定と、プロモーター領域の推測を試みる。と同時にIL-33のトランスフェクションによる、細胞内動態の詳細な観察と過剰発現さた際の細胞への影響についても検討を行う。 乾癬モデルマウスの作成についても予定通りに行うこととし、処置部の外見、病理切片、並びに血清マーカーの検討などからいずれのモデルが適当か、検討を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
支給された額について、収支の最終調整が遅れたため。 次年度に繰越し、適正に使用する。
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