2013 Fiscal Year Research-status Report
非病原性天疱瘡抗体を用いた表皮特異的ドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
25461713
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
河野 通良 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30403182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80327618)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 免疫学 |
Research Abstract |
本研究では、天疱瘡患者からクローニングされた自己抗体のうち、表皮に結合するが、病原性を示さない非病原性表皮特異的抗体を用いて、表皮特異的ドラッグデリバリーシステムの開発を目指している。表皮へ誘導する治療分子として、癌抑制分子TRAIL (TNF-related apoptosis-inducing ligand)を抗体に結合させた融合タンパク(Px44-TRAIL)を作製した。 TRAILは3量体を形成した状態で生物活性を有し、室温下では活性のある3量体を長く維持できないことが知られている。バクテリオファージ由来のFoldon配列は融合タンパクの3量体維持を促すことが知られていることから、TRAILにこのFoldon配列をつなげた融合タンパクを作製し(Px44-foldon-TRAIL)、その室温下での活性を検討した。37度で2日間おいた後で、PX44TRAILはの活性は50%まで低下したが、Px44-foldon-TRAILその活性を維持することが出来た。 これまでの結果を、論文発表、学会発表した。 in vivoにおけるPX44TRAILの表皮細胞結合の安定性をマウス投与実験で確認したところ、投与1時間程度までしか結合が認められなかった。一方、表皮組織切片においては長く結合が認められた。その理由としてTRAILの切断部位が含まれていることによりin vivoの条件下で切断されている可能性を考え、切断部位を含まないPX44TRAILを新たに作製した。マウス投与実験において投与3時間後まで結合が維持されたことを確認している。しかし、その後は結合が認められず、今後の課題を残すこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究計画達成目標として、in vivoにおけるTRAILの表皮への安定したデリバリーシステムの確立をめざしていたが、in vivoの条件下で活性を維持できる改良型PX44-foldon-TRAILを作製することができた。また、長時間の安定した表皮細胞への結合を目指して、切断部位をのぞいたTRAILを用いたPX44TRAILの検討を行っている。また、ここまでの研究成果を、論文、学会発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、皮膚炎モデルマウスへの投与による、治療効果検討を行う予定である。 また、抗体PX44のターゲットであるDsg3が頭頚部扁平上皮癌で高発現することが報告されており、TRAILが癌抑制分子であることから、扁平上皮癌に対する治療効果の検討も模索して行きたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
融合タンパクの改良と、in vitroでの解析が中心となったため、多量のタンパク精製をおこない、実験動物も用いることにより最も多くの経費が必要となる、動物への投与実験をあまり行わなかったため。 治療タンパクの改良ある程度のめどが立ったので、今年度は動物への投与実験を中心とした実験計画となる。主に、タンパク精製、実験動物購入、投与実験後の解析に使用する。
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