2014 Fiscal Year Research-status Report
非病原性天疱瘡抗体を用いた表皮特異的ドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
25461713
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
河野 通良 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30403182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80327618)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 免疫学 / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、天疱瘡患者からクローニングされた抗デスモグレイン(Dsg)抗体のうち、表皮に結合するが、病原性を示さない非病原性表皮特異的抗体を用いた表皮特異的ドラッグデリバリーシステムの開発を目指している。表皮へ誘導する治療分子としてTRAIL (TNF-related apoptosis-inducing ligand)を抗体に結合させた融合タンパク(Px44-TRAIL)を作製し、さらに、in vivoにおいて安定した活性化型の3量体形成を維持するためfoldonタンパクを結合させた融合タンパク(Px44-foldon-TRAIL)を作製してきた。 当初の研究計画では皮膚炎を主な治療対象としていたが、近年、口腔扁平上皮癌(OSCC)の原発巣および転移リンパ節において天疱瘡抗原(Dsg3)が高発現していることが報告され、有用なバイオマーカーの一つと考えられていることから、口腔癌に対する組織特異抗原をターゲットとした選択的治療モデルの開発の検討を開始した。 本年度、我々は口腔癌患者から樹立された40種類のOSCC細胞株を入手することができ、それらを用いた研究を開始した。まず、それぞれの細胞においてin vitroでPx44-foldon-TRAILが結合するかを確認した。その結果、細胞の糸状偽足と思われる突起の部位に優位に強く結合している像が見られ、文献検索を行ったところ、Dsg3がSCC細胞の遊走能に関わることが報告されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画とは異なるが、口腔癌患者から樹立された40種類のOSCC細胞株を入手することができたため、口腔癌に対する組織特異抗原をターゲットとした選択的治療モデル開発の研究を開始した。Dsg3がSCC細胞の転移、遊走能に関わるという知見から、今後の研究発展が期待されると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
入手した40種類のOSCC細胞株のうち、同一口腔癌患者の原発巣および転移リンパ節巣から樹立されたものがあり、それらを用いてDsg3の発現と細胞遊走能の比較を行い両者の相関を調べる予定である。さらに、よりDsg3の発現が高く、遊走能の高い細胞株でPx44-foldon-TRAILによるアポトーシス誘導効果が高いかをin vitro, in vivoの実験で調べたいと考えている。
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Causes of Carryover |
初年度に治療タンパクの改良と、機能解析が研究の中心となり、最も費用がかかるマウスを用いた実験が行われなかったことと、当初の研究計画とことなる、口腔癌治療モデルの研究へと発展して行ったことによる、研究計画の変更による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
40種類の口腔癌細胞株を用いて、治療タンパクによるin vitroでのアポトーシス誘導効果を検討した後、マウスへの腫瘍細胞移植を行い、in vivoでの治療効果の検討を行いたいと考えている。
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