2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461714
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
照井 正 日本大学, 医学部, 教授 (30172109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 吉道 日本大学, 医学部, 准教授 (80292605)
葉山 惟大 日本大学, 医学部, 助手 (40647187)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蕁麻疹 / マスト細胞 / 神経ペプチド / MrgX2 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性慢性蕁麻疹(CSU)の病態の一部には自己抗体の関与が示唆されている。さらに神経ペプチドの受容体であるMrgX2がCSUの病態に関与することが報告された。本研究の目的は、CSUの病態に自己抗体やMrgX2が関与するメカニズムを明らかにすることである。 抗FcεRIα鎖(α鎖)自己抗体はCSU患者のみならず健常者や他の自己免疫性疾患でも検出される。今回の実験でCSU患者の抗α鎖自己抗体価と臨床的特徴との関連を解析した。CSU患者121名、健常人56名の血清を用いて抗α鎖自己抗体を酵素免疫測定法(ELISA)およびα鎖を遺伝子導入したCHO細胞を用いた流動細胞分析法 (FC)で解析した。ROC曲線からカットオフ値を求めた。ELISAでは抗α鎖自己抗体価はCSU患者の方が健常者よりも有意に高かったが、FCでは両群間に有意差はなかった。しかし抗α鎖自己抗体価のカットオフ値以上の群と未満の群で比較した場合、ELISA、FC共にカットオフ値以上の群において持続型CSU(治療により症状が軽減するが治療をstep downすると再燃する型)が有意に多かった(p<0.05)。一方、ELISA、FC共にカットオフ値未満の群において再燃型(治療により症状が消失するが治療をstep downすると再燃する型)が有意に多かった(p<0.05)。以上の結果から抗α鎖自己抗体を持つことによって、膨疹の発生が持続することが示唆された。 昨年度までの研究でヒト培養マスト細胞にてMrgX2が発現していること、CSU患者の病変部でMrgX2の発現しているマスト細胞が増えていることを発見した。次に我々はサイトカインやケモカイン、神経ペプチドなどの存在下で皮膚マスト細胞を培養し、MrgX2の発現に変化を与えるかを調べた。IL-33とTSLPを添加し16時間培養した皮膚マスト細胞ではMrgX2の発現が高くなっていることが分かった。今後はMrgX2高発現マスト細胞の機能を脱顆粒能、サイトカイン産生能などに変化を与えるかを調べる予定である。
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