2013 Fiscal Year Research-status Report
うつ病に関連する遺伝子およびそのメチル化と養育期環境の交互作用の解析
Project/Area Number |
25461723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
音羽 健司 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70456119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | うつ病 / 遺伝子 / 一塩基多型 / 候補遺伝子 / 全ゲノム関連解析 / 環境ストレス |
Research Abstract |
うつ病の発症には遺伝要因と環境要因の交互作用が関連していることが知られている。本研究では、これまでに収集した関東近郊に在住の約320名の成人サンプルを対象に、環境ストレス(SRRS:Social Readjustment Rating Scale)とうつ症状(CES-D)の交互作用について、全ゲノムワイド(genome-wide association study: GWAS)での関連解析を行った。解析には、Affymetrix社製のチップ(Genome-Wide Human Array 6.0)を使用した。その結果、解析を行った約50万多型(single nucleotide polymorphisms: SNPs)のうち、10q25に位置するRGS10遺伝子上の多型が全ゲノムレベルで有意(p<5x10(-8))となった。本研究ではこれまでにうつ病との関連について報告のなかったRGS10遺伝子が環境ストレスとの交互作用を通じてうつ病の発症に関連する可能性を示唆した。この結果を、世界精神科遺伝医学会(Boston, 2013)と日本不安障害学会(東京, 2014)にてポスター発表を行った。 これまでにうつ病発症に関与する遺伝子群として、セロトニン・トランスポーター(5HTTLPR)や神経栄養因子(BDNF)、ストレス応答に関与する視床下部-下垂体-副腎皮質系(hypothalamic-pituitary-adrenal axis:HPA)などが報告されている。これらの遺伝子群に位置する18多型部位について、別のサンプル集団(n=430名)を対象として、PCR法やABI社製PRISM 7900HTを用いたTaqMan法で遺伝子タイピングを行った。今後は、こうした遺伝子群とストレス環境との交互作用について解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたうつ病の候補遺伝子の多型解析と全ゲノム対象の関連解析を行い、関連する遺伝子を見出しており、当初の予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度に行った研究成果をもとに、全ゲノム関連解析で見出した関連部位について、別の集団を用いた確認実験を行う。さらに、うつ病の候補遺伝子の多型部位について遺伝子タイピングを行い、本研究で用いたサンプル集団で再現可能かどうかを確認する。すでに新たに別集団のサンプル収集は終了しており、解析に取り組める段階となっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りの助成金使用を行っているが、使用金額の端数が生じたものによる。 次年度に繰り越しのうえで、事前に立てた計画通りに使用する予定としている。
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