2014 Fiscal Year Research-status Report
抗精神病薬により引き起こされるメタボリック症候群様症状の新たな生物学的機序の解明
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25461729
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷向 仁 大阪大学, 保健センター, 講師 (60432481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津金 麻実子 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (00469991)
工藤 喬 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10273632)
山森 英長 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90570250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞内コルチゾール再活性化酵素 / 11β-HSD1 / メタボリック症候群 / 非定型抗精神病薬 / オランザピン / アリピプラゾール / ハロペリドール / クロルプロマジン |
Outline of Annual Research Achievements |
非定型抗精神病薬は臨床領域で頻用される薬剤の一つであるが、耐糖能異常や脂質代謝異常、体重増加などメタボリック症候群類似の症状を引き起こすことが問題となっている。申請者らは、メタボリック症候群の原因の一つである細胞内コルチゾール再活性化酵素(11β-HSD1)に注目し、主として非定型抗精神病薬と11β-HSD1の関連について検討している。このうち耐糖能異常発現に特に注意喚起がなされているオランザピン(OLZ)および代謝異常を引き起こしにくいと考えられているアリピプラゾール(ARP)、定型抗精神病薬のうちハロペリドール(HPD)、クロルプロマジン(CP)の4剤による11β-HSD1の誘導について肝細胞を用いて検討を行っている。 本年は、肝細胞の実験系で汎用されているHepG2細胞(肝細胞)を新たに用いて、これら4種の抗精神病薬による11β-HSD1の誘導についてELISA系及びWestern blotにて、 CP (9μg/ml, 900ng/ml, 90ng/ml)、HPD ( 180ng/ml, 18ng/ml, 1.8ng/ml)、OLZ (100μM, 25μM, 2.5μM)、ARP (10μM, 1μM, 0.1μM) にて検討を行った。ELISAではこれらの濃度において、今のところ濃度依存性は確認できておらず、低濃度のCP (90ng/ml), HPD (1.8ng/ml), OLZ (2.5μM)において発現誘導の傾向が認められた。また予想に反してARP(0.1μM)においても発現誘導が認められた。類似の傾向はWestern blotによっても認められており、さらに検証を進める必要があると考えている。その結果を踏まえ、コルチゾンからコルチゾールへの変換の確認およびグルコース産生との関連についての検討、in vivoでの検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度5月に研究代表者が異動したため、速やかにラボのセットアップを行ったが、一時的に実験を進めることができない時期があった。またその後、In vitroでのデータをさらに検証する為、新たにHepG2肝細胞を導入してELISAおよびWestern blotによる11β-HSD1誘導の検証を行っていたが、Western blotでこれまで使用していた11β-HSD1抗体の発売が中止され、新規の抗体の選別及びその条件設定が必要であったこと、また近年発売されたELISA系を用いた実験系による安定した結果の検証に時間を要したため、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の5月までには、これらのin vitroの結果を確定させ、その結果を踏まえて予定しているin vivoへの検討に迅速に進む予定である。 現在、実臨床におけるこれらの4つの抗精神病薬の治療用量と、これまで得られたin vitroでのデータを照らし合わせて、マウスを用いた実験で使用していく抗精神病薬の用量設定を行っている。それを踏まえて、今後速やかにin vivoでの検証ならびに臨床検体の検討に移行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度5月に、研究代表者が急遽部署異動となり、新たな部署におけるラボの立ち上げに時間を要し一時的に研究を進めることができなかったため、やや進捗が遅れ次年度への使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている計画については、今年度5月末をめどに完了し、in vivoへの研究へ進める予定である。また、脂質研究、メタボリックシンドロームに関する研究について詳しい循環器内科との意見交換会議を行い、助言や協力も受けながら進めていく予定である。
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[Journal Article] Novel therapeutic strategies for delirium in patients with cancer: A preliminary study.2015
Author(s)
Tanimukai H, Tsujimoto H, Matsuda Y, Tokoro A, Kanemura S, Watanabe M, Tsujio I, Maeda I, Takei K, Nakajima S, Taira T, Tokuyama M, Kai T, Okamoto Y, Goya S, Kashiwagi Y.
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Journal Title
Am J Hosp Palliat Care.
Volume: In press
Pages: In press
Peer Reviewed
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[Journal Article] Fluvoxamine alleviates ER stress via induction of Sigma-1 receptor.2014
Author(s)
Omi T, Tanimukai H, Kanayama D, Sakagami Y, Tagami S, Okochi M, Morihara T, Sato M, Yanagida K, Kitasyoji A, Hara H, Imaizumi K, Maurice T, Chevallier N, Marchal S, Takeda M, Kudo T.
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Journal Title
Cell Death Dis
Volume: 5
Pages: e 1332
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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