2014 Fiscal Year Research-status Report
双極性障害を対象とした簡便な心理社会的ツールの開発
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25461746
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 輝明 北海道大学, 大学病院, 講師 (00374447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 心理社会的介入 / 認知機能障害 / 再発・再燃防止 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、統合失調症に限らず様々な精神疾患で認知機能障害の影響が検討されており、双極性障害においても予後やQOLとの関連が指摘されている。これを受けて、双極性障害における認知機能検査バッテリーの標準化が試みられているが、客観的な認知機能検査は多大な時間と労力を要し、実際の臨床に導入することは極めて困難である。本研究は、日常臨床でも利用可能な、簡便かつ有用な双極性障害に対する心理社会的介入用ツールの開発を目指すものであるが、今年度も、昨年度より取り組んでいる「双極性障害における主観的認知機能障害(COBRA)」日本語版の検証を進め、客観的認知機能検査の結果との相関を検討した。現時点では、まだ十分な症例数が集まっていないものの、前頭葉機能を中心とした客観的認知機能と主観的認知機能障害との間に一定の相関を認めている。このことから、COBRAを本研究に組み入れて調査を行うことは妥当と考えられる。また、認知機能の変化は臨床症状の改善に必ずしも並行せず、遅れて改善することも予想されているが、COBRAの検証でも同様の傾向を認めている。 さらに、今年度も引き続き、双極性障害患者および家族を対象とした、アンケート調査および各種評価尺度を用いたデータ収集を予定していたが、自記式質問紙COBRAの検証が終わらずに今年度は進捗が遅れていた。次年度は上記の結果も踏まえて、当初の予定通り、アンケートや質問紙調査に基づいてデータ収集・解析を進め、新たな心理社会的ツールの開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
双極性障害においても認知機能障害が予後やQOLに影響することが指摘されており、再検討の結果、本研究を進める上で認知機能障害の影響を考慮する必要があると判断した。そこで、昨年度より簡便な自記式質問紙である「双極性障害における主観的認知機能障害(COBRA)」日本語版の作成と検証を進めた。 今年度はCOBRA日本語版の検証(客観的認知機能障害との相関など)に時間を要し、当施設ならびに研究協力施設でのアンケート調査やデータ収集には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を一部変更し、双極性障害における認知機能障害の影響についても検討を行っている。新たに作成した主観的認知機能障害の自記式評価尺度(COBRA日本語版)の検証が終わったことから、認知機能障害も調査項目に加え、次年度は当初の予定どおりアンケート調査および各種評価尺度を用いてデータ収集を進める。得られたデータを質的・量的に解析し、共通する問題点をリスト化し、簡便かつ有用な心理社会的介入ツールの作成を行う。 新たな自記式質問紙は簡便で、追加した際の負担もごくわずかである。研究の遂行に特に支障はないと判断している。進捗が遅れていることから、研究協力施設を増やして早期のエントリー数達成を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に一部変更が生じ、予定していたアンケート調査および各種評価尺度によるデータ収集が次年度に持ち越しとなった。このため、アンケート調査への協力に対する謝金およびデータ管理を担当する研究補助者の雇用に関する経費が支出されず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度でようやく準備が整ったことから、次年度はアンケート調査およびデータ収集を進める予定であり、上記の謝金および人件費の支出を計画している。
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