2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒトはなぜあがるか?-社交不安障害における対人認知処理の脳機能・形態研究-
Project/Area Number |
25461749
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
平野 好幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (50386843)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社交不安障害 / 対人不安 / fMRI / 拡散テンソル / MRI |
Research Abstract |
社交不安障害(SAD; Social Anxiety Disorder)は、対人関係や社交場面における強い不安・緊張を主な症状とし、さらには社会的状況を回避することで、日常生活に多大な支障をきたす精神疾患である。選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI; Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)を用いた薬物療法に対し、顕著な改善を示さない患者に対しては、不安と結びつく認知解釈を、機能的または適切な解釈に修正することにより症状の改善を図る認知行動療法(CBT; Cognitive Behavioral Therapy; CBT)が行われる。この際、治療者は患者の社会脅威に合わせた曝露や認知再構成のための治療計画を設計する必要がある。これまでに社交不安障害における情動処理に関する神経基盤の解明するため、顔課題提示に対する扁桃体や前帯状回などの辺縁系の活動を、functional MRIやPETによる脳機能イメージングにより評価する研究が広く行われている。しかしながら、先行研究では、個人の社会脅威を考慮した脳神経回路研究はあまり行われていない。そこで、本研究では社交不安障害患者における、対人認知回路を誘発する課題(表情、注視、スピーチ課題)に対する脳活動応答と症状ディメンジョンとの関連性を、機能的MRI(functional MRI)と脳形態計測(voxel based morphometry: VBM)等のMRI画像を解析することで、患者個人の社会脅威に応じた対人認知回路の機能的・形態的な差異から、社交不安障害の脳神経基盤を検討し、認知行動療法などの精神療法を行う場合の治療計画の設計に役立てる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常対照者のリクルートが順調に行われ、社交不安障害患者に対して行う対人認知回路を賦活させる課題の評価と決定が速やかに行われた。また、それに続く社交不安障害患者のリクルートも計画以上に行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
社交不安障害患者のリクルートとMRI検査を引き続き行うとともに、平成24年度に得られた各種MRI画像と各種神経心理学的検査、不安水準評価試験の成績との関連性を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MRI検査が計画以上に行われたため、画像解析に関するワークステーションの切り替えなどの環境整備が更新が遅れたため。 画像解析に用いるワークステーションとソフトウェアを導入する。また、研究補助員のための謝金と、研究成果を学会で発表するための旅費と学会登録費として使用する予定である。
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