2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461763
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
元村 英史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10324534)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (70219278)
乾 幸二 生理学研究所, 感覚運動調節研究部門, 准教授 (70262996)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | うつ病 / 誘発電位 / 誘発磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はうつ病の疲弊は前注意的な身の回りにおける過剰な変化検出とその後に駆動される防衛システムの持続にあるという仮説を持ち、変化に対する脳の自動応答(変化関連脳活動)について研究を行っている。聴覚においては変化発生から約100 ms遅れて大きな脳活動(Change-N1 response)を脳波および脳磁図で測定することができる。 H26年度は健常者を対象として脳磁図と誘発電位を用いて変化関連脳活動のメカニズムと臨床的意義の解明を試みた。脳磁図を用いた基礎的研究として、音の終了にみられるOffset反応(Off-N1m)に注目し、右利きの健常者を対象として左右の片耳刺激における変化関連脳活動の大脳半球差を検討した。Off-N1mにおいては刺激呈示側に関わらず、右側優位であることが明らかになった。音の終わりに誘発されるOffset反応はその後に処理すべき感覚情報は存在しない。つまり、極めて純粋な変化関連脳活動であり、聴覚変化検出に関わる前注意的脳内情報処理活動に左右差があると考えられる(投稿準備中)。更に、健常者を対象としてクロニンジャーのTemperament and Character Inventory(TCI)を用いて変化関連脳活動と人格特性について検討を行った。変化関連脳活動強度と損害回避スコアは正の相関を示し、自己志向スコアは負の相関を示した。TCIのこれらの所見は不安や抑うつとの関連が指摘されており、本研究の仮説を支持する結果であった(投稿中)。また、変化関連脳活動とうつ病関連遺伝子多型のdata収集を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常者を対象とした脳磁磁場、誘発電位研究はともに順調に進んでいる。また、変化関連脳活動と遺伝子解析の連関についてはCOMT, BDNFとともにセロトニントランスポーター遺伝子多型についての解析も加えてdata収集を継続している。しかしながら、患者群を対象とした実験系は微調整を行うこととなり、改めてH27年度から測定を行うこととなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
被験者にとって負担が少なく効率の良い実験系を確立しつつあり、H27年度から本格的にうつ病患者群のdata収集(一部の被験者においては経時的に)を進める予定である。うつ病関連遺伝子多型との連関解析においては、SSRIの作用点であるセロトニントランスポーター遺伝子多型(5HTTLPR)を加え、引き続いてdata収集を行い、多角的に解析を進める。研究成果は、順次、学会および学術雑誌に発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
主に人件費・被験者謝金が予定よりも少ない支出であった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の研究計画に基づいた予算執行とともに、本年度の未使用分 69566円は次年度の被験者謝金に充てる予定である。
|
Research Products
(1 results)