2017 Fiscal Year Annual Research Report
The neural basis of depression based on the auditory change detection
Project/Area Number |
25461763
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
元村 英史 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10324534)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正幸 三重大学, 医学系研究科, 教授 (70219278)
乾 幸二 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 准教授(兼任) (70262996)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | うつ病 / 誘発電位 / 誘発磁場 / 変化関連脳活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
取り巻く環境の変化を速やかに察知して危険に備える脳内情報処理活動は極めて基本的かつ重要である。この脳の自動応答は時間的分解能に優れた脳波や脳磁図で明瞭に捉えることができる。連続音の途中で音特性を変化させた場合にみられる変化関連脳活動と音が消えた時にみられるOFF応答を用い、以下のことを明らかにした。① 健常者を対象とし、日本語版Temperament and Character Inventory (TCI)を用いて変化関連脳活動と性格特性について検討した。変化関連脳活動強度は損害回避と正の相関、自己指向性とは負の相関がみられ、抑うつや不安との関連性が示唆された(Tanahashi et al., 2016)。② 健常者を対象とし、うつ病に関連する代表的な遺伝子多型であるBDNFval66met多型とOFF応答について解析を行った。不安・抑うつと関連が強いMetキャリア群(Met/Met、Met/Val)ではVal/Val群と比較してOFF応答の振幅は高かった。③ 患者群と健常者における変化関連脳活動について解析を行った。健常者と比較して、患者群において変化関連脳活動強度は高かった。これらの結果から、我々はうつ病の素因のひとつとして過剰な変化応答があるのではないかと考える。更に脳磁図を用いた基礎的研究としてOFF応答のプレパルス抑制について調べた。クリック連発音終了直前のクリック音をわずかに増強させる(プレパルス)と、OFF応答は明瞭に減弱し、このOFF応答のプレパルス抑制はプレパルス強度に依存することを明らかにした(Motomura et al., 2018)。変化応答のプレパルス抑制は感覚情報のフィルタリング機構を示唆すると考えられる。引き続き、うつ病における変化応答のプレパルス抑制について研究を進め、うつ病の神経基盤の解明を目指す。
|