2013 Fiscal Year Research-status Report
社会経験依存的に発達する前頭前野の興奮性神経回路は治療の手がかりとなるか
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25461778
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
芳野 浩樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10347560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会的隔離 / 内側前頭前野 / 錐体細胞 / 興奮性シナプス伝達 / 膜興奮性 |
Research Abstract |
雄の仔マウスが4匹以上同時に出生したケースより、1匹と3匹に雄マウス2週間分離して育て、社会的隔離マウスを作成した。隔離期間が終了後は再び同じケージで飼育した。生後35から49日ではなく生後21から35日の時期の隔離において、驚愕反応を調べるprepulse inhibition test, working memoryに関係するY-maze testにおいて行動異常が示された。隔離マウスのmPFCの第五層の錐体細胞から記録される自発性興奮性後シナプス電流、微小興奮性後シナプス電流の両方において、振幅は変わらないが頻度が低下していることが示された。行動と同様に、この頻度の低下は生後35日から49日の隔離では見られないが、生後21日から生後35日の隔離においてのみ見られることがわかった。続いて社会的隔離による第五層の錐体細胞の興奮性への影響について調べ、活動電位の発生頻度や、閾値、振幅についてその効果を調べたが、現在のところは変化が見られていない。刺激誘導性興奮性後シナプス電流を記録し、paired-pulse ratioは変化なかったが、CVは変化がみられた。プレシナプス性の変化が隔離によって起こっている可能性が考えらえた。AMPA受容体アンタゴニスト、NMDA受容体アンタゴニストを利用して、AMPAによる興奮性後シナプス電流、NMDAによる興奮性後シナプス電流をそれぞれ調べると、AMPA / NMDAの比が隔離によって変化することがわかった。ある一定の期間の社会的隔離により、mPFCの第五層の錐体細胞を取り巻く興奮性回路においてかなりの変化が起きていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画の8割程度の内容について実験を進め、結果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き電気生理学的手法を中心にして、社会的隔離によるマウス内側前頭前野における影響を調べる。錐体細胞のタイプ分けを試み、錐体細胞のタイプによって隔離の影響に違いが見られないかを確認していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
少額であったため必要なものを購入するなどが不可能であった。 実験動物、消耗品の購入に使用する予定である
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