2013 Fiscal Year Research-status Report
脳画像解析を用いた精神生理性不眠症とうつ病の残遺不眠の比較
Project/Area Number |
25461795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
中村 真樹 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (70375054)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MRS / 不眠 / 脳画像 |
Research Abstract |
MRS研究を開始するにあたり、MRS信号の測定部位・測定条件の検討を行った。 過去の不眠症・うつ病に関する脳画像研究で障害部位と推定されいてる前帯状回、両側海馬、睡眠覚醒維持に関わる大脳橋部(上行性網様体賦活系)および視床下部、睡眠中枢が存在するとされる腹外側視索前野(VLPO)を計測部位として、予備研究を行った。その結果、脳脊髄液が存在する大脳正中部を中心とした狭小域(15mm立方体)を測定部位とした、視床下部・腹外側視索前野は、水分子が豊富な脳脊髄液に起因したノイズ信号が混入するため、測定部位として不適切であると判明した。また、おなじく大脳性中部を中心とした前帯状回においては、測定体積を拡大(15mm×15mm×30mm)することで、脳脊髄液に起因したノイズ信号を低減できることが判明した。よって、当研究で測定する脳部位は、①前帯状回、②右海馬、③左海馬、④大脳橋部の4カ所に決定した。 MRS信号の測定条件として、当初、GABA濃度も測定できるMEGA-PRESS法を用いることを予定していたが、研究協力機関である八重洲クリニック所有のMRI機器では、MEGA-PRESS法による計測が不可能であることが判明した。他の測定条件を用いることを検討したが、検査時間が長時間に及ぶことがわかり、被験者への負担が大きくなると判断し、通常のPRESS法によるMRS信号測定にて、神経細胞の機能を反映するNAA、神経細胞膜の状態を反映するcholine、初期の細胞障害を反映するLactate、興奮性神経伝達物質の複合体であるGlxを測定対象とすることに決定した。 上記条件にて、健常被験者数名を対象に測定した結果、部位毎にCholine,Glxの濃度に違いがある可能性、NAAは年齢の影響を受ける可能性を示唆する所見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRSの測定部位の決定のため、数回の予備検査が必要となった。また、当初予定していた撮像条件であるMEGA-PRESS法による測定が行えないことが判明し、代替となる測定条件を検討することに時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
MRSの測定部位・測定条件が確定したことから、今後、予定通り、健常被験者のリクルート、および疾患対象群(不眠症・うつ病患者)のリクルート行う。健常群を対象に、年齢の影響を受ける部位・測定物質の検討、睡眠時間などの睡眠パラメーターと関連のあるMRS信号の検討を行う。同時に、疾患対象群の臨床データ・不眠の心理指標の解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モンペリエ大学睡眠学センター等を訪問し、直接指導を得る予定であったが、メールにて指導・アドバイスを得ることができたため、研究打合せの旅費が大幅に減少した。また、撮像部位・条件の設定に時間を要したため、当初予定していた健常被験者の検査人数を下回り、その他(検査費)が減少した。 検査費用の改定があり、一人あたりの検査費用が約5,000円増加する見込みである。また、検査対象人数を増数する予定であり、検査費用の総額の増大が見込まれるため、これに充足する予定である。
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