2014 Fiscal Year Research-status Report
脳画像解析を用いた精神生理性不眠症とうつ病の残遺不眠の比較
Project/Area Number |
25461795
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
中村 真樹 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (70375054)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MRS / 不眠 / 脳画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は健常対照群における不眠・抑うつの程度、睡眠習慣と下記の領域のそれぞれのMRS信号との相関について解析した。対象は睡眠障害・精神疾患の既往のない平均年齢34.4±7.7歳の10名(男性2名、女性8名)。昨年度の予備研究で確定した、前帯状回、右海馬、左海馬、大脳橋部(上行性網様体賦活系)および腹外側視索前野(VLPO)における、神経細胞膜の機能を反映するNAA(N-acetyl-L-Aspartate)、神経細胞膜の状態を反映するCholine(Cho)、初期の細胞障害を反映するLactate、細胞膜・細胞形態維持に関わるmyo-inositol(mI)、および興奮性神経伝達物質のグルタミン・グルタミン酸複合(Glx)のMRS信号の計測を行い、状況負荷に対する不眠の易発現性を評価できるFIRST (Ford Insomnia Response to Stress Test)、過去2週間の睡眠・日中の機能を評価するISI-J(Insomnia Severity Index)、抑うつの程度を評価するBDI-II(Beck Depression Inventory)のスコアとの相関を解析した。 不眠の易発現性の指標であるFIRSTのスコアが前帯状回のコリンおよび右海馬のNAAと負の相関、左海馬のGlxと正の相関を認めた。一方、睡眠・日中機能の指標であるISI-Jは前帯状回のmIと正の相関、VLPOのGlxと負の相関、抑うつの程度の指標であBDI-IIはISI-Jと同部位・同物質と相関があったが、正負が逆転していた。 不眠を認めない健常者において、記憶形成・維持に関わる海馬と注意に関わる前帯状回がストレスによる不眠の易発現性と関連があり、一方で注意に関わる前帯状回と睡眠中枢とされるVLPOが睡眠・日中機能と関連があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常群のデータは順調に得られているが、不眠症患者のエントリーが予定より遅れている。原因として、比較的高齢の患者の受診が多かったこと、治療前後の2回のMRS検査の日程が合わないなどの理由が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、薬物療法で不眠症状が軽減、安定している通院患者も研究対象候補としてリクルートを行いながら、非薬物療法である認知行動療法を希望する初診患者に対しても積極的に、研究の重要性を説明し、エントリーを促す予定である。
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Causes of Carryover |
患者群被検者のエントリーが少なく、検査費用等が予定額を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者群のリクルートを押し進め、また、より詳細な解析を行うため、健常群のエントリー数も予定より増やす方針である。よって、MRS検査費用の総額の増大が予想され、これに充足する予定である。
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