2015 Fiscal Year Research-status Report
脳画像解析を用いた精神生理性不眠症とうつ病の残遺不眠の比較
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25461795
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Research Institution | Neuropsychiatric Research Institute |
Principal Investigator |
中村 真樹 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (70375054)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MRS / 不眠 / 脳画像 / 海馬 / 前帯状回 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、健常者のみを対象に、不眠・抑うつの程度、睡眠習慣と、(1)前帯状回、(2)右海馬、(3)左海馬、(4)大脳橋部(上行性網様体賦活系)および(5)腹外側視索前野(VLPO)におけるMRS信号(神経細胞膜の機能を反映するNAA(N-acetyl-L-Aspartate)、神経細胞膜の状態を反映するCholine(Cho)、初期の細胞障害を反映するLactate、細胞膜・細胞形態維持に関わるmyo-inositol(mI)、および興奮性神経伝達物質のグルタミン・グルタミン酸複合(Glx))との相関について解析し、健常者において、記憶形成・維持に関わる海馬のGlxと注意に関わる前帯状回のChoがストレスによる不眠の易発現性と関連があり、一方で注意に関わる前帯状回のmIと睡眠中枢とされるVLPOのGlxが睡眠・日中機能と関連があることを確認した。 本年度は、年齢と性別を一致させた健常者6名(平均年齢35.3±9.8歳、男性2名、女性4名)と、不眠を主訴に当院を初診した慢性不眠症患者6名(平均年齢39.7±10.2歳、男性2名、女性4名)を対象に、脳内の同部位・同MRS信号の相違を比較検討した。 結果、健常群と比較し、慢性不眠症群では、右海馬のGlxおよび前帯状回のGlxおよび脂質(cho)の濃度が有意に高値であった。昨年度の健常者の解析結果にて不眠の易発現性との関連が推測された海馬および前帯状回における興奮性神経伝達物質Glxの異常が不眠症発症の基底要因であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年齢(20~50歳)・服薬状況(睡眠薬は2種以下)・合併症などのエントリー基準を満たす不眠症患者のエントリーが遅れている。原因として、患者被験者をリクルートしている医療機関が睡眠障害を専門にしているため、睡眠薬多剤服用者や高齢者、精神疾患合併の不眠を主訴とした重症例・難治症例の受診が多いためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
近隣のクリニックと連携し、エントリー条件を満たす不眠症患者の紹介を依頼。また、既存の通院患者のうちで、エントリー基準を満たす不完全寛解者(現在の治療で不眠症状の改善が不十分な症例)も研究対象候補としてリクルートを行う。 被験者患者群を十分数確保し、不眠症状・重症度と関連のある脳部位・MRS信号の解析を行う。
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Causes of Carryover |
患者群被験者のエントリーが少なく、MRS検査費用等が予定額を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者群の募集を推進し、同時に、健常群のエントリー数も増やす方針である。これによりMRS検査費用の総額の増大が予想され、また、バックアップを含むデータ保管に関わる経費の増大も予想され、これに充足する予定である。
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Research Products
(1 results)