2015 Fiscal Year Research-status Report
尿中ヨード濃度測定による分化型甲状腺癌に対する放射性ヨード内用療法の効果予測
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25461809
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 信嗣 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50597846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335034)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分化型甲状腺癌 / 放射性ヨード内用療法 / ヨード摂取制限 / 甲状腺刺激ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分化型甲状腺癌術後の放射性ヨード(I-131)内用療法の前処置として行われるヨード摂取制限が、I-131内用療法にどのような影響を与えるかを検証し、尿中ヨード濃度測定の臨床的意義を明らかにすることを目的とする。I-131内用療法の前処置は、上記ヨード摂取制限のほか、血中甲状腺刺激ホルモンを上昇しておくことも必須である。本研究では、ヨード摂取制限の方法、および、血中甲状腺刺激ホルモン濃度を上昇させる方法を、それぞれ2通りの方法で設定し、これらのI-131内用療法の成否に与える影響を検証した。 データの収集および解析は平成27年度で終了している。 対象患者は、I-131 1110MBqで内用療法(アブレーション)を行った65症例。このうち、治療効果の判定をするシンチグラフィを撮影しなかった12例を除外し、53症例が評価対象となった。全体の尿中ヨウ素濃度の平均は、ヨード摂取制限前376.3μgであったものが、制限後82.3μgと、有意に低下していた。2通りに設定したヨード摂取制限の方法別では、市販低ヨード食を摂取した群と自己管理群の間では、ヨード摂取制限前後のヨード濃度に有意差はなかった。 アブレーションから6~8カ月経過した時点で、シンチグラフィを撮影し、残存甲状腺床への集積残存の有無で、アブレーション治療の成否を判定した。集積消失・残存について、多変量解析を行ったが、尿中ヨード濃度、甲状腺刺激ホルモンの上昇方法のいずれにおいても、有意差は認めなかった。一方で、アブレーション時の甲状腺床へのヨードの集積が強さが、成否に有意差をもって影響することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27度までに、データ収集およびデータ解析が終了した、研究実績の概要で述べたように、尿中ヨード濃度、甲状腺刺激ホルモンの上昇方法のいずれにおいても、有意差は認めず、アブレーション時の甲状腺床へのヨードの集積が強さが、成否に有意差をもって影響することが示された。 これまでの研究成果を、平成27年度に第55回日本核医学会学術総会(東京)およびヨーロッパ核医学会2016(ドイツ・ハンブルク)で発表した。当初、平成27年度中に論文発表も予定していたが、他の業務との兼ね合いもあり、これを平成28年度に持ち越すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、データ解析を再度確認したのちに、成果を論文発表する。
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Causes of Carryover |
論文執筆のための英文校正費用等を考慮し、平成27年度の予算額を設定したが、他の業務との兼ね合いのため、論文執筆の進行が遅延し、これに使用する費用において残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に論文執筆を行うために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)