2013 Fiscal Year Research-status Report
2管球CTを用いた心筋遅延造影と細胞外液分画の評価法の確立
Project/Area Number |
25461812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
北川 覚也 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50378353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 正樹 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10456741)
中山 良平 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20402688)
佐久間 肇 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60205797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CT / 心筋線維化 / 心筋細胞外液分画 |
Research Abstract |
1. CTによる心筋線維化評価および細胞外液分画定量の実現可能性に関する検討 心筋線維化評価に適した遅延造影CTの撮影プロトコールを開発し、従来法と比較してアーチファクトが大幅に減少し心筋CT値の均一性が高いことを示すことができた。また計40例でCTを用いた心筋細胞外液分画(ECV)の定量を行った。正常心筋や梗塞心筋において定量したECVは、過去のMRIを用いた報告と概ね一致した。また正常心筋において加齢とともに心筋外液分画が増加する現象をとらえることができた。CTを用いたECV定量の再現性は十分に高く、CTによる細胞外液分画定量は十分に実現可能と考えられた。3T MRIによるECVとの直接比較を行うことができたのは数例にとどまった。 2. 遅延造影撮影プロトコールの低被曝化に関する検討 現在の遅延造影撮影プロトコールでは、画像ノイズの低減を目的として4回の撮影データの平均化を行うため2.8mSv程度の被曝線量となる。平均化を行わずに十分な画質のデータがえられれば1mSv未満に抑えることができる。さて超解像技術を用いると画像の解像度感を失わずにノイズを低減することが可能である。そこで平均化を行わない1回の撮影データから得た遅延造影画像に対して超解像技術を適用し、4回平均の画像との比較を行った。視覚的画質は従来の4回平均画像に及ばなかったものの、コントラストノイズ比は超解像技術を用いると4回平均画像と同等に改善し、心筋線維化の有無と広がりの評価に供せる画質であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目的は(1)遅延造影CTに最適な撮影法・撮影条件と画像再構成法を検 討すること(2)最適化された方法を用いて心筋梗塞の既往歴のある患者30例を対象に遅延造影CTの撮影を行い、その診断精度を遅延造影MRIの結果と比較して検証し、適宜、撮影法の見直しや再構成法の最適化や撮影プロトコールの改良を行うこと(3)心筋線維化の評価を客観的に行うための定量化ソフトウェアを開発すること、であった。 (1)については、従来法による遅延造影CTと新しく開発した遅延造影CTとの比較において新法の有用性を示すことができ、十分に目的を達成したと考えるが、無論さらなる被曝線量の低減に向けた撮影技術や画像処理法の開発が望まれる。 (2)に関しては当該年度中に107例において心筋線維化や細胞外液分画定量が可能なプロトコールでの心臓CT撮影を行った。正常心筋や梗塞心筋におけるECV計測値の妥当性をしめすことはできたものの、梗塞の既往歴を有する患者は16例でMRIも行われたのは4例にとどまったため、ECVの精度の検討までは行えていない。(3)心筋線維化の評価のための定量化ソフトウェアの開発に関しては、既存の画像診断ワークステーションの機能を組み合わせて用いることで概ね目的を達成できることが判明したため、優先度を下げた。代わりにこの分野の担当者は遅延造影CTの画質改善を行うための学習型超解像技術の開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究により十分に高い画質の遅延造影CTを得ることができている。今後は検討対象を心筋梗塞だけでなく、心筋症等へ広げて、線維化を描出し、ECVの変化をとらえることができるか検討する。MRIによるECV定量値とCTによるECV定量値との比較を行って行く必要がある。遅延造影CTの画質改善や低被曝化に向けた学習型超解像技術の開発は引き続き行っていくとともにECV定量の自動化ソフトウェアの開発に着手する。 また、前年度の研究で得られた知見の英文論文化を進める。第一段階として新しく開発した遅延造影CTの有用性につき報告を行い、続いて、新しい遅延造影CT撮影法に基づくECV定量に関し、正常心筋での検討や梗塞心筋での検討について論文化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際学会出張旅費1回分について、所属機関からの補助を受けることができたため 負荷薬剤、造影剤等に600,000円。国内外での学会発表と情報収集に700,000円。ポスター印刷と英文校正に150,000円を見込んでいる。繰り越し分については国際学会出張旅費に充当する。
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