2014 Fiscal Year Research-status Report
CTにおける放射線被ばくのDNA損傷に対する影響の検討
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25461825
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
粟井 和夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (30294573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 由紀子 広島大学, 大学病院, 講師 (10397911)
石田 万里 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (30359898)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CT / X線被ばく / DNA / 二重鎖切断 / γ-H2AX / 染色体異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年4月~2015年3月現在まで、心臓アブレーションの術前検査として心臓CT撮影を行った患者25例に対して、CT撮影の直前、検査後15分、検査後2-3日後に、採血を行い、得られた血液においてリンパ球を分離・培養し、染色体異常、γ-H2AXという生物学的指標を測定した。現在まで、全症例において解析を修了した。検討は、CT前後で生物学的指標に統計学的有意差に生じるか、CT dose index (CTDI)、Dose length product (DLP: CTDIに撮影範囲cmを乗じたもの)、Size-specific dose estimates (SSDE:CTDIを患者体格で補正したもの)、SSDE lengh product (SSDE_LP: SSDEに撮影範囲を乗じたもの)というCTにおける物理学的X線吸収度の指標と生物学的指標の相関を検討した。 その結果、CT前後で染色体異常は統計学的に有意な増加していた(5.3 x 10-3/cell vs 7.4 x 10-3/cell, p<0.01)。また、γ-H2AXもCT前と比較してCT後において有意に増加していた(1.12 foci/cell vs 1.80 foci/cell, p<0.01)。 染色体異常とCTDI、SSDE、DLP、SSDE_LPとの相関は、それぞれr=0.54 (p=0.01)、r=0.57(p<0.01)、r=0.57(p<0.01)、r=0.58(p<0.01)であった。また、γ-H2AXとCTDI、SSDE、DLP、SSDE_LPとの相関は、それぞれr=0.42 (p=0.07)、r=0.47(p=0.04)、r=0.45(p=0.05)、r=0.50(p=0.03)であった。以上の結果、CT上の物理的指標と生物学的指標は比較的良好に相関することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CT前後に採血したリンパ球の解析も順調に進み、当初予定したCTにおけるX線吸収度との物理的指標の相関の検討も順調に行いつつある。また、平行して、採血したリンパ球をシリンジに入れてファントムに挿入した行うIn vitro studyの解析も進行中であるので。
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Strategy for Future Research Activity |
1)未だ解析できていない残りの血液標本の分析を進める。 2)今回、検討した物理的指標について、モンテカルロシミュレーションによる厳密な値を求め、それと生物学的指標との相関を検討する。 3)本研究の結果を英文論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
採血した血液サンプル中のリンパ球の分析に予想よりも時間がかかり、全サンプルの解析が終わっておらず試薬等を追加購入していなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の血液サンプルの分析する経費に使用する予定(可能であれば技術補佐員を雇用して分析を進める予定である)。
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Research Products
(3 results)