2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄脊椎病変評価のための非ガウス分布解析拡散強調像の確立と臨床応用
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25461847
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
堀 正明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40334867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | QSI / DKI / 脊髄MRI / 拡散定量値 / 軸索測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際に取得した変形性頚椎症性脊髄症の患者群のデータより、高いb値を複数用いた拡散MRIの撮像・解析手法であるq-space imagingを用いて、水分子の根2乗平均変位の計算により生体内の軸索径を測定し、健常ボランティア群と比較、その結果を2014年5月の国際磁気共鳴医学会にて発表した。 また、新しい拡散解析手法であるNeurite Orientation Dispersion and Density Imagingを本研究にとりいれる上での、生体における頚髄での撮像条件のうち、特に重要なmotion probing gradientの軸数とその変化に伴う拡散定量値の変化に関する検討を行い、その結果を2015年3月の第44回日本神経放射線学会(にて発表を行った。 その他、本研究における主要なMRI撮像および解析手法である、非ガウス分布拡散解析の手法であるq-space imagingおよびdiffusional kurtosis imagingに関して、現状における技術的側面(例、空間分解能の限界、撮像時間に関する問題、効率的なデータ取集等)、臨床応用の実際(変形変性疾患、腫瘍性病変等における有用性)、および将来の展望(例、撮像時間を短縮するようなmulti-band エコープラナー法などの技術)に関して、2014年6月にAdvanced CT MRI研究会、2014年9月に第42回日本磁気共鳴医学会大会にて、それぞれ招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、解析手法は当初の予想より多岐にわたり、q-space imaging、diffusional kurtosis imagingのほか、Neurite Orientation Dispersion and Density Imagingのような組織を既知の微細構造を基にしたモデル解析も可能となり、その条件の至適化に若干時間がかかっているものの、データの解析そのものは順調に進行しているといえる。ただし、脳の解析で一般的に用いられているような、画像統計解析のための指標となるような標準的なテンプレートの作成には現時点では至っていない。 また、MRIでの撮像手法としても、当初は想定していなかったmulti-band EPIのようなより高度の新技術の導入が可能となったことで、より高速かつ効率よくデータ収集が可能であり、そのような技術の使用を前提とした脊椎脊髄拡散MRIの撮像条件の若干の修正を検討する必要性がある。 また、実際の疾患群における臨床データに関しては、個々の疾患(変性疾患、腫瘍性病変、血管性病変等)におけるデータ数が統計学的処理を前提した場合に十分でない部分があり、今後もデータ収集が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な研究方針に大きな変更はなく、引き続き脊椎脊髄のMRIデータの収集を、病的状態にある場合、および健常ボランティアですすめる。画像の拡散解析に関しては、計画当初とは異なる、複数の新たな手法(例:Neurite Orientation Dispersion and Density Imaging等)が可能となり、それらの手法の本研究目的における妥当性、実効性の検討が特に拡散定量値(例intra-cellular volume fraction等)において必要であると考える。 また、新たに追加された解析手法では、従来のQSIあるいはDKIといった解析手法とは異なるMRIデータ収集が必要となる場合があり、実現可能なデータ取得時間内で、その有効性、妥当性を検討したうえで、データ取得を行う。 さらに、昨年度の方針の挙げた他施設のデータに関して、一部他の機関からの協力の申し出、試験的なデータ提供が既に行われているので、今後積極的に推進していく。 本研究により、臨床的に非ガウス分布解析を用いた脊椎脊髄拡散MRIの有用性の確立が第一義であるが、その背景で最も重要なものは病変内の微細構造変化と臨床指標との相関、関連であり、その点についてもデータの取集および解析、統計を行う。
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Causes of Carryover |
前年度の想定より、特に疾患群における脊椎脊髄MRIのデータの収集状況の進行がはかどらず、その後のデータ解析、保存に必要なシステムの構築、機器やソフトウエアの購入、解析に必要な雇用に対する謝金等の費用が、予想より少なかったことが理由の1つとして挙げられる。 また、国内外への学会、研究会への参加、出張の際に必要な費用を、可能な限り最小限に抑える努力をした結果、予想よりはかかる費用を縮小できたものであると考える
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き脊椎脊髄のMRIデータの収集を、病的状態にある場合、および健常ボランティアですすめる。このためのデータ収集のためのボランティアや、解析補助に関する謝金が必要となってくる。また、疾患群におけるMRIデータを、個人情報を保全、匿名化しつつ解析、運用するための機器や記憶媒体に関する費用が必要と思われる さらに、本研究に関する最新の知見、情報交換あるいは成果の発表のための国内外での学会、研究会への参加を予定している。次年度は最終年度であり、成果をできる限り論文、出版できるようにする予定である。
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Research Products
(5 results)