2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ病患者の遺伝子多型が脳微細構造に及ぼす影響をMR統計画像解析を用いて評価する
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25461858
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
興梠 征典 産業医科大学, 医学部, 教授 (60195691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛田 伸吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (30352313)
中村 純 産業医科大学, 医学部, 教授 (40148804)
森谷 淳二 産業医科大学, 医学部, 助教 (50412656)
香月 あすか 産業医科大学, 医学部, 助教 (60566488)
吉村 玲児 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90248568)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大うつ病性障害 / 遺伝子多型 / 拡散テンソル画像 / 脳MR統計画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に前向きに蓄積した、大うつ病性障害(Major Depressive Disorder: MDD)患者、および患者群に年齢性別がマッチした正常コントロール群を検討した。25年度はCOMT遺伝子多型との関連を主に調査したが、26年度はnorepinephrine transporter(NET)遺伝子多型における脳容積変化、ならびに拡散テンソル(DTI)画像のTBSS解析を追加した。 MDD患者に対しては、①臨床検査:ハミルトンうつ病評価尺度、Wisconsin Card Sorting Test(WCST)とIowa Gambling Task(IGT)、②頭部MRI検査:3次元高分解能T1強調像、拡散テンソル画像など、③血液検査:NET遺伝子多型の検査、すなわちT-182C と G1287A を調べた。正常コントロール群については上記のうち、検査②と③を行なった。 DARTELおよび SPM8を用いて、脳容積に関する解析を行ったところ、NETのT-182C遺伝子多型では、いずれの評価項目においても有意な関連を認めなかったが、G1287A多型において有意な関連が見られた。すなわちG1287A遺伝子のG/G型では、G/A型やA/A型に比べ、左のprefrontal cortex (PFC)の容積減少の程度が、健常群よりもMDD患者群において有意に大きかった。 またDTI画像のTBSS解析では、脳内の数か所(inferior fronto-occipital fasciculus, uncinate fasciculus, anterior thalamic radiation)において、MDD患者で健常者よりも優位にFA値が低く、かつコルチゾールレベルと逆相関していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の検査を終了した大うつ病性障害(MDD)の症例、および正常コントロール群を用いて、昨年より解析を開始した。DTI画像の統計画像解析は高性能コンピュータを用いても非常に長時間を要する作業であるため、当初は脳容積を中心に解析したが、26年度はTBSS解析も開始した。 遺伝子多型としては、25年度はCOMTを、26年度はNETを対象とした。25年度に、Met carrier群とVal/Val群のCOMT遺伝子多型において、局所的な脳容積に差異がある、正常コントロール群に比し、Met carrier群ではMDD患者において両側の尾状核の体積が有意に小さい、といった結果が得られた。さらに26年度には、G1287A遺伝子のG/G型では、左prefrontal cortexの容積減少の程度が、健常群よりもMDD患者群において有意に大きい、という結果を得た。またDTI画像のTBSS解析では、脳内の数か所において、MDD患者で健常者よりも優位にFA値が低く、かつコルチゾールレベルと逆相関する、という結果が得られた。 以上より、研究の目的および当該年度の研究実施計画は十分に達成されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度と26年度で、種々の遺伝子多型とMDD患者の脳容積の関連、およびDTI画像解析でのMDD患者のFA異常などを見出した。後者のDTI画像解析では、Oxford大学グループによって開発されたTBSSというFractional Anisotropy(FA)画像のvoxel-by-voxelの解析手法を用いて、脳形態の違いについて群間比較したが、TBSSで画像統計精度が向上し、従来のvoxel-by-voxel解析の手法より優れていることが示されており、極めて新しい手法である。TBSSでは、臨床症状をデータに含めることで、各臨床症状に関連する脳領域の解析も可能であり、遺伝子多型において症状に関連する脳領域の違いが解明できると考えられる。よって、最終年度においてこれらの解析も含め、全体をより網羅的に検討する予定である。当初の計画通り、今後の研究を遂行できる見込みである。
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[Presentation] Susceptibility changes in normal-appearing basal ganglia in patients with neuropsychiatric systemic lupus erythematosus: evaluation of quantitative susceptibility mapping2014
Author(s)
Atsushi Ogasawara, Shingo Kakeda, Keita Watanabe, Issei Ueda, Yu Murakami, Junji Moriya, Satoru Ide, Koichiro Futatsuya, Toru Sato, Kazuyoshi Saito, Yoshiya Tanaka, Tian Liu, Yi Wang, Yukunori Korogi
Organizer
Radiological Society of North America
Place of Presentation
米国シカゴ市 McCormick place
Year and Date
2014-12-26
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[Presentation] Relationship between white matter integrity and serum cortisol levels in drug-naïve major depressive disorder patients: a diffusion tensor imaging study using tract-based spatial statistics2014
Author(s)
Xiaodan Liu, Keita Watanabe, Shingo Kakeda, Reiji Yoshimura, Osamu Abe, Satoru Ide, Kenji Hayashi, Asuka Katsuki, Wakako Umene-Nakano, Rieko Watanabe, Issei Ueda, Jun Nakamura, Yukunori Korogi
Organizer
American Society of Neuroradiology
Place of Presentation
カナダモントリオール市 Palais des congrés de Montreal
Year and Date
2014-05-20
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