2013 Fiscal Year Research-status Report
先進的ながん治療を目指した高純度無担体ルテチウム-177の新規大量製造法の開発
Project/Area Number |
25461861
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡辺 智 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (40354964)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ルテチウム-177 / イッテルビウム / 抽出 / 塩酸 / HDEHP |
Research Abstract |
本研究では、がんの内用放射線治療に有望なLu-177の製造法の開発を進めているが、今後の大規模な動物実験の実施や前臨床試験などに対応するため、Lu-177の製造量を上げる必要があり、更なるターゲット量の増加に対応可能な新規の分離技術の検討が必要である。そこで、本研究課題では、溶媒抽出分離法を用いた粗分離法を検討する。 希土類元素のHDEHPによる溶媒抽出挙動は明らかにされており、Lahiriら(“Separation of Carrier Free Lutetium Produced in Proton Activated Ytterbium with HDEHP”, Appl. Radiat. Isot., 49 (1998) 911-913.)は、塩酸-HDEHP抽出系におけるYbおよびLuの抽出率を調べ、Yb-Luの分離は1 M HCl系が最もよいことを報告している。そこで、塩酸-HDEHP抽出系を用い、1 M HCl付近を重点的に検討する。 本年度は、有機相としてシクロヘキサンを溶媒としたHDEHP溶液を用い、水相として、Yb担体およびLu-177トレーサーを含んだ塩酸溶液を用いた。有機相と水相とを攪拌した後、それぞれの相のLuの放射能量を測定しLuの抽出率を求めた。今回は塩酸濃度依存性について検討したが、塩酸濃度が増加するに従いLuの抽出率は減少することが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、有機相としてシクロヘキサンを溶媒としたHDEHP溶液を用い、水相として、Yb担体およびLu-177トレーサーを含んだ塩酸溶液を用いて溶媒抽出を行い、Lu-177の抽出率の塩酸濃度依存性を調べた。今後は①HDEHP濃度、②Yb濃度、③溶媒の依存性を調べるとともに、それぞれのYbの抽出率も検討する予定であり、現在まで、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の実験としては、平成25年度と同様に、有機相として、シクロヘキサンを溶媒としたHDEHP溶液を用い、水相として、Yb担体およびLu-177トレーサーを含んだ塩酸溶液を用いる。有機相と水相とを攪拌した後、それぞれの相のLuの放射能量を測定しLuの抽出率を求める。また、それぞれの相のYbの濃度を吸光光度分析等を用いてYbの抽出率を求める。①HDEHP濃度、②Yb濃度、③溶媒の種類の3点に関して条件を変化させてLuとYbの最適な分離条件を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の進捗状況において若干の遅れがあるために、当初実験に使用すると考えていた実験機器及び試薬についての購入をH25年度に執行しなかったため。 次年度使用額としては、平成25年度に行われなかった実験のための実験機器及び試薬の購入に用いる。またH26年度については、当初計画の通り、実験機器や試薬の購入、旅費、謝金に用いる予定である。
|