2015 Fiscal Year Research-status Report
新規画像分類法「カルタ」を利用したがん分子標的治療の効果判定ソフトウェアの開発
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25461864
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山口 雅之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (90450577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 画像診断学 / MRI / 機械学習 / がん分子標的治療 / 効果判定 / 橋渡し研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞に発現するαVβ3インテグリンを標的とした、がん分子標的治療の効果判定を支援する画像診断支援ソフトウェアが実現可能か検討した。このインテグリン分子は腫瘍の血管新生と関連が深いとされ、αVβ3インテグリン阻害剤投与により、腫瘍の血液灌流が変化し、治療効果を発揮すると期待される。従って、腫瘍の血液灌流を評価可能なダイナミック造影MRIを利用して、腫瘍細胞のαVβ3インテグリン発現の有無を反映した画像所見を見出すことができれば、同分子を標的とした治療効果判定に利用可能と考えられた。そこで、αVβ3インテグリン分子が安定して発現している膵臓癌細胞(PANC1)および発現に乏しい大腸癌細胞(HT29)ゼノグラフトモデルを作出し、9.4テスラMRI装置を利用して、ダイナミック造影MR画像を得た。また、摘出腫瘍を免疫組織化学的に解析し、CD31陽性内皮細胞の密度から血管新生の程度を調査するとともに、インテグリン(αV及びβ3)陽性がん細胞数を調査した。PANC1ゼノグラフトとHT29ゼノグラフトを比較してインテグリン分子は、明らかに前者の腫瘍細胞において高発現であった。にも拘らず、DCEMRIの経時的信号変化や血管新生の程度は両者で有意な差が認められなかった。従って、αVβ3インテグリン分子の発現の有無とダイナミック造影MRI所見との関連性は乏しいと考えられ、腫瘍細胞に発現するインテグリン分子を標的とした治療の効果判定をダイナミック造影MRIを利用して実施することは現実的ではないと思われた。今後、腫瘍細胞ではなく、腫瘍血管に発現する分子を標的とした治療の効果判定が可能か検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がんゼノグラフトモデルを対象に、腫瘍の血管内皮細胞に発現し、血管新生に関連が深い分子、あるいはそのような分子に関連が深い分子を標的とした抗がん剤治療を実施し、ダイナミック造影MRIを利用してがん病変の血液灌流を評価する追加実験が必要と考えられたため。追加実験にて得られたデータを、新規画像分類法「カルタ」を実装した画像診断支援ソフトウェアに入力し、抗がん剤治療の効果判定が可能か調査する。本追加実験により、がん病変の血液潅流を正常化し、腫瘍低酸素を改善することで、治療効果を発揮するタイプの抗がん剤(ベバシツマブや類似の新規抗がん剤)の治療効果を予測できれば、当該研究の成果がよりインパクトの高いものになると期待できる。なお、研究代表者の病気療養により、計画が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
がん細胞ではなく、がん新生血管の内皮細胞に発現する分子、またはそのような分子に関連の深い別の分子に作用し、がん病変の血液灌流を正常化する効果を有する抗がん剤(例えばベバシツマブや類似の新規抗がん剤、等)を用いた追加実験を実施する。大腸癌や膵臓癌のゼノグラフトを対象に、治療実験及びダイナミック造影MRI撮影を実施する。得られたMRIデータを、画像診断支援ソフトウェアに入力し、分子標的治療の効果判定が可能か、調査を予定する。
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Causes of Carryover |
当初計画の遅延、および補助事業の目的をより精緻に達成するための研究(追加実験)を実施するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験の実施を行うための物品費として使用する計画である。
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[Presentation] Arctigenin, an antiausterity antitumor agent, increases intra-tumor blood circulation through vascular re-modeling in vivo2015
Author(s)
Kawashima T, Yamaguchi M, Onuki K, Murata K, Kondoh S, Yomoda A, Takahashi R, Tsuchihara K, Fujii H, Esumi H
Organizer
10th World Congress for Microcirculation
Place of Presentation
Kyoto
Year and Date
2015-09-25 – 2015-09-27
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