肝動脈化学塞栓術におけるナノミセルを用いた薬剤導入と集積方法に関する研究

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25461873
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 南 哲弥 金沢大学, 大学病院, 准教授 (60436813)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小林 聡 金沢大学, 保健学系, 教授 (30313638) ; 香田 渉 金沢大学, 医学系, 准教授 (30401920) ; 吉田 耕太郎 金沢大学, 医学系, 助教 (30645130)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 肝動脈塞栓術

Outline of Annual Research Achievements

ｲﾝﾀｰﾍﾞﾝｼｮﾅﾙﾗｼﾞｵﾛｼﾞｰの手法を用いたﾄﾞﾗｯｸﾞﾃﾞﾘﾊﾞﾘｰｼｽﾃﾑ（DDS）導入は、腫瘍などの標的部位に効率的に高濃度の抗癌剤等薬剤の到達を可能とする。この種の研究は最も注目されている先端医療分野のひとつである。肝細胞癌のような多血性の腫瘍は新生血管が豊富であり経動脈的に治療薬を導入することにより非腫瘍部と腫瘍部の治療薬の分布に大きな格差を生じさせることは可能である。また、抗癌剤を通常使用する濃度よりも高濃度化することで効率的な治療が可能であると考えられ、従来の油性造影剤に混和させることやDDSとしての球状塞栓物質よりも効率的に抗癌剤を腫瘍に集中させるｼｽﾃﾑを構築することを目標にしている。本研究では、家兎に対して複数回の血管造影手技に耐えうるような経大腿動脈的な造影手技を確立した。本手技はを要するものの、標的臓器へｶﾃｰﾃﾙを導入し、選択的造影やDDS導入を行うことが可能となった。さらに、細径のﾏｲｸﾛｶﾃｰﾃﾙを用いれば、血管損傷をおこすことなく標的動脈の選択を行う事ができ、DDS注入やその後の評価のための複数回の血管造影が可能であった。DDSとしての鉄ミセルへの抗癌剤吸着し肝動脈からの注入を行い得たものの、球状塞栓物質によるいわゆる塞栓術（DEB-TACE:薬剤溶出性ﾋﾞｰｽﾞによる塞栓術）に比して効率的に薬剤導入できたという結果にはたどり着けなかった。末梢到達性についてはDEB-TACEは粒子の大きさに縛られてミセル構造を持つようなDDSほどの成果が得られないと思われる結果が示された。しかしながら、肝腫瘍モデルにおいてはある程度の結果を期待できる結果を得た。さらに、より効率的なDDS確立については、血管作動性物質等との組み合わせによりさらに効率的な治療効果が得られるような組織の変化を目指せる状況となっており、さらなる研究の礎となったと考えられる。

Research Products

• [Journal Article] Morphometric changes in liver cirrhosis: aetiological differences correlated with progression. (2016)
  • Author(s): Ozaki K, Matsui O, Kobayashi S, Minami T, Kitao A, Gabata T.
  • Journal Title: Br J Radiol. Volume: 89 Pages: Epub
  • DOI: 10.1259/bjr.20150896
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] JSH Consensus-Based Clinical Practice Guidelines for the Management of Hepatocellular Carcinoma: 2014 Update by the Liver Cancer Study Group of Japan. (2016)
  • Author(s): Kudo M, Matsui O, Izumi N, Iijima H, Kadoya M, Imai Y, Okusaka T, Miyayama S, Tsuchiya K, Ueshima K, Hiraoka A, Ikeda M, Ogasawara S, Yamashita T, Minami T, Yamakado K
  • Journal Title: Liver Cancer. Volume: 3 Pages: 458-468
  • DOI: 10.1159/000343875
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] 肝悪性腫瘍の画像診断 非肝細胞由来 (2016)
  • Author(s): 小坂 一斗, 蒲田 敏文, 小林 聡, 香田 渉, 南 哲弥, 北尾 梓, 井上 大, 米田 憲秀, 吉田 耕太郎
  • Journal Title: 臨床画像 Volume: 32 Pages: 189-199
• [Journal Article] 肝悪性腫瘍の画像診断 肝細胞由来 (2016)
  • Author(s): 北尾 梓, 米田 憲秀, 吉田 耕太郎, 井上 大, 小坂 一斗, 南 哲弥, 香田 渉, 小林 聡, 松井 修, 蒲田 敏文
  • Journal Title: 臨床画像 Volume: 32 Pages: 180-188
• [Journal Article] Hepatitis C related chronic liver cirrhosis: feasibility of texture analysis of MR images for classification of fibrosis stage and necroinflammatory activity grade. (2015)
  • Author(s): Wu Z, Matsui O, Kitao A, Kozaka K, Koda W, Kobayashi S, Ryu Y, Minami T, Sanada J, Gabata T.
  • Journal Title: PLoS One. Volume: 5 Pages: e011829
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0118297.
  • Peer Reviewed / Open Access
• [Journal Article] Hepatocellular Carcinoma with β-Catenin Mutation: Imaging and Pathologic Characteristics. (2015)
  • Author(s): Kitao A, Matsui O, Yoneda N, Kozaka K, Kobayashi S, Sanada J, Koda W, Minami T, Inoue D, Yoshida K, Yamashita T, Yamashita T, Kaneko S, Takamura H, Ohta T, Ikeda H, Nakanuma Y, Kita R, Gabata T.
  • Journal Title: Radiology Volume: 205 Pages: 708-717
  • DOI: 10.1148/radiol.14141315
  • Peer Reviewed
• [Journal Article] Conventional TACE不応肝細胞癌症例に対するDEB-TACE (2015)
  • Author(s): 南 哲弥, 眞田 順一郎, 小林 聡, 香田 渉, 小坂 一斗, 北尾 梓, 井上 大, 吉田 耕太郎, 米田 憲秀, 池野 宏, 奥村 健一朗, 蒲田 敏文, 松井 修
  • Journal Title: IVR: Interventional Radiology Volume: 30 Pages: 126-131
• [Journal Article] EOB-MRIとAFPによる肝癌のサブタイプ分類およびその各種遺伝子発現パターン (2015)
  • Author(s): 北尾 梓, 松井 修, 山下 太郎, 金子 周一, 米田 憲秀, 吉田 耕太郎, 井上 大, 小坂 一斗, 南 哲弥, 香田 渉, 小林 聡, 眞田 順一郎, 中沼 安二, 蒲田 敏文
  • Journal Title: 日独医報 Volume: 60 Pages: 71-78
• [Journal Article] 肝細胞癌におけるradiogenomicsの現況 Gd-EOB-DTPA造影MRIを中心に (2015)
  • Author(s): 松井 修, 北尾 梓, 米田 憲秀, 小坂 一斗, 小林 聡, 池野 宏, 吉田 耕太郎, 井上 大, 南 哲弥, 香田 渉, 眞田 順一郎, 蒲田 敏文, 山下 太郎, 山下 竜也, 金子 周一
  • Journal Title: The Liver Cancer Journal Volume: 7 Pages: 113-119
• [Journal Article] 【腫瘍に対する分子標的療法の現状と画像評価】 肝細胞癌 (2015)
  • Author(s): 小林 聡, 香田 渉, 南 哲弥, 小坂 一斗, 井上 大, 北尾 梓, 吉田 耕太郎, 米田 憲秀, 池野 宏, 奥村 健一朗, 松井 修, 蒲田 敏文
  • Journal Title: 画像診断 Volume: 35 Pages: 805-817
• [Journal Article] ビーズの新たな展開 ディーシービーズ (2015)
  • Author(s): 南 哲弥, 眞田 順一郎, 小林 聡, 香田 渉, 小坂 一斗, 井上 大, 吉田 耕太郎, 池野 宏, 奥村 健一朗, 蒲田 敏文
  • Journal Title: 臨床画像 Volume: 31 Pages: 396-402
• [Journal Article] TACE不応後の治療方針 Beads TACE(DEB-TACE) (2015)
  • Author(s): 南 哲弥, 眞田 順一郎, 小林 聡, 香田 渉, 小坂 一斗, 井上 大, 北尾 梓, 吉田 耕太郎, 米田 憲秀, 奥村 健一朗, 蒲田 敏文, 山下 竜也, 荒井 邦明, 金子 周一, 松井 修
  • Journal Title: 肝・胆・膵 Volume: 70 Pages: 109-116
• [Presentation] Drainage flow from hypervascular hepatocellular carcinoma: importance in intervention (2015)
  • Author(s): Minami T, Matsui O, Gabata T, Miyayama S, Terayama N, KItao A, Sanada J, Kobayashi S, Koda W, Kozaka K, Inoue D, Yoshida K, Yoneda N
  • Organizer: RSNA
  • Place of Presentation: Chicago, USA
  • Year and Date: 2015-11-29 – 2015-12-05
  • Int'l Joint Research