2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461885
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
廣川 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30404718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐見 陽子 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (20572530)
斉藤 正人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70551109)
奥田 洋輝 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40753140)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腹部動脈瘤 / 再発防止 / 器質化 / 内皮形成 / 形状保持 / PGLAコイル / ベアコイル / 毛付きコイル |
Outline of Annual Research Achievements |
【動物実験】ブタの両側総預動脈に5m出大の入工動脈瘤を合計4個作成(/ブタ1頭)し,計4頭16個の瘤の作成をした.塞栓コイルの種別に以下のように割り付けした.B:ベアコイル単独群(n=2),FP群:PGLAコイル+fiberedコイルの混合(n=4),P群:PGLAコイル単独群(n=2).1頭目2頭目は35日後,3頭目4頭目は63日後に標本が作製された.結果;16個すべてで完全塞栓が得られた.また,いずれの瘤も35日後の血管造影上は完全閉塞が得られた.VERは29.6-42.6%.B1,P2のそれぞれ1個の一部以外は全てに完全な内膜を確認した.病理学的検討は35日後の8個で行われた.内膜厚はB群に比しFP群とP群では内膜が厚かった(P=0.01).線維化面積率には有意差はなかったが,いずれも内膜下から動脈瘤内に入り込む様に分布した.多核巨細胞はファイバー周囲に偏在しており,B群、P群よりもFP群で多くみられたが,面積率に有意差はなかった(P=0.06).現在63日目の病理組織学的変化について検証中. 【臨床介入】2012年9月から2015年1月現在で,12症例13個の腹部動脈瘤に対し,3Dベアコイル+PGLAコイル+Fiberedコイルにて戦略的に塞栓された.平均VERは11.7%.観察期間中央値は364日.塞栓後の翌日,半年後,1年後(以降は1年ごと)に再発の有無が確認された.技術的成功率は76.9%(10/13),臨床的成功率は100%(13/13),戦略的成功率(臨床的+親動脈の開存)90%(9/10).全例で観察期間内にコイルコンパクションならびに,再潅流は認められなかった.低いVERでも再発がないのは,コイルの形状保持性,瘤内器質化,内膜形成性などが関与するものと推察された. 〈総括〉上記の戦略的腹部動脈瘤塞栓術は有用である.さらに病理組織学検討と臨床例を重ねる予定.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的である不定形で大きな腹部動脈瘤のコイル塞栓術の臨床的、物理的、生物学的な実験をすすめている。コイル塞栓を再発なく成功に導くためには,コイルの長期形状保持性と,瘤内器質化/線維化ならぴに内皮形成などの組織学的変化が重要である.平成26年度は臨床例と瘤内組織学的検討を重点的に検証した。臨床実績数は13症例と少ないが,これは適応患者の有無によるため,長期的な見通しが必要である.当該期間では20例を目指している.生物学的効果に関しては,若手研究で共同研究者が記載している通りおおむね順調である。コイル形状保持性確認には,人体を模倣したモデルと臨床での塞栓結果から検証する必要があるが、血管/循環モデルによる形状保持試験が未施行であるが,予定通りに本年度に行う.
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Strategy for Future Research Activity |
FiberedコイルとPGLAコイル併用の有用性を引き続き生物学的/物理学的に追加調査する.本研究以降では,PGLAコイルに影響を与えるFiberedコイルの意義を検証する必要がある.そのためには,Fiberedコイル単独の生物学的/物理学的効果の確認が必須であるが,過去にこのテーマに関して詳細に扱った研究はなく,また,今回の主たる研究テーマでもないため本研究では結果が出ていない.具体的には,Fiberedコイル単独での生物学的反応を,H-E染色のみならず瘤内の血管/間質増生,炎症メディエーターに関与する特殊免疫解析を網羅的に行い,本研究では,PGLA単独とPGLA+Fiberedコイル併用の比較により,「PGLA+Fiberedコイルで示された瘤内器質化の役割」を考察したが,それに加えて,「Fiberedコイル単独の場合とPGLAコイル併用の場合の瘤内器質化の量と質」を検索することを考えている.次回申請する予定である.
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Causes of Carryover |
前倒し支払い請求20万しております。というのも、本研究の骨幹である瘤内組織学的変化を確認するための動物実験が順調に進み,ある一定の方向性が確認できたため重ねて実験を行う必要があり,さらに飼育期間を延長した実験を追加で行う必要があると判断されたためです.また、追加実験を今年度内に実施したのは,27年度に実験結果の臨床への応用を予定していること,また,27年度が最終年度であることから,総括のための時間も考えるとできるだけ早めに結果を得ることが望ましかったためです.そのため予算上では20万程度足りないと判断し前倒し請求しましたが、結果的に161585円が残額として残りました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度に行うべきこととして物理学的実験があります。また、25年度,26年度に行った実験結果の臨床への応用と蓄積された結果の検討・総括が必要となります.物理学的実験のためには備品(血管モデル・循環モデル設備・PC・周辺機器・ソフト等)の購入と国内・国際学会での成果発表が必要ですが,設備備品費は25万円程度,旅費は50万円程度を予定しており,本年度の繰越金161585円と27年度の予算60万と合わせると、研究を達成するには十分と考えています。
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[Presentation] Strategic Embolization Combined with 3D, Bioactive, and Fibered Coils for Intra-Abdominal Aneurysms2015
Author(s)
Hiroki Okuda, Naoki Hirokawa, Yoko Usami, Masato Saito, Nana Natsume, Yuuki Hukushima, Toshio Gocho, Koichi Sakata
Organizer
JSIR, ISIR & APCIO 2015
Place of Presentation
シーガイアコンベンションセンター(宮崎県・宮崎市)
Year and Date
2015-05-28 – 2015-05-30
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