2015 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌に対するRI標識リピオドールを用いた新しい放射線塞栓療法の開発
Project/Area Number |
25461894
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
谷川 昇 関西医科大学, 医学部, 教授 (90227215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 啓太 関西医科大学, 医学部, 講師 (20193914)
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
河野 由美子 関西医科大学, 医学部, 助教 (10598957)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性同位元素 / 肝細胞癌 / 肝動脈塞栓術 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術不能肝細胞癌において肝動脈塞栓術は本邦において開発・発展した手技であり治療の中心的な役割を果たしている。本研究では肝癌モデル家兎を用いて、血流に依存して分布し、腫瘍部位に長期に貯留する性質を有する油性造影剤(リピオドール)を用いて、従来法であるリピオドールによる肝動脈塞栓術(TAI)を行った群と放射性同位元素(RI)標識したリピオドールを用いてTAIを行った群、無治療群に分け、その治療効果を比較した。 結果はRI標識リピオドールを用いた治療症例には3週以上の長期生存個体が見られた。特に標識リピオドール治療群では49日生存した症例が見られ、RIによる抗腫瘍効果の治療の上乗せ効果が期待される結果となった。 球状塞栓物質にRIを標識したRI製剤が欧米では臨床利用されているが、その粒径により分布が規定される。本研究では液状物質にRIを標識することでより細かく広いレベルでの治療が可能であると期待されたが、一定量を超えた投与を行うことで毛細血管を通過し、肺塞栓や肺の放射線障害が合併症になり得ることも判明した。しかしながら至適量のリピオドールで治療すると薬剤は1ヶ月以上も肝臓に停留し、標的臓器である肝臓へのRIキャリアーとして用いることができると考えられた。RI標識により動脈塞栓術の抗腫瘍効果が上乗せされる可能性が示唆された。従来行われているさまざまな腫瘍に対する動脈塞栓術にも応用できる可能性がある。
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