2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳内レドックス状態のイメージングを目的とするPETプローブの開発
Project/Area Number |
25461895
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
岡村 敏充 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (80443068)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性医薬品 / PET / レドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は脳内のレドックス状態を非侵襲的に評価するためのポジトロン断層撮像法(PET)用プローブを開発することである。この目的のため、血液脳関門を通過し、脳内で酸化され水溶性代謝物に変換される候補化合物を設計・合成し、インビボにおいて望ましい性質を有するジヒドロキノリン系化合物([11C]DHQ1)を前年度に見出した。今年度は、レドックスモジュレータのジフェニレンヨードニウムおよびアポシニンを用いて、[11C]DHQ1の応答性を評価した。マウス脳ホモジネート中の[11C]DHQ1の酸化速度はジフェニレンヨードニウムおよびアポシニンにより低下し、さらにアポシニンについては濃度依存的な酸化速度の減少が認められた。また、インビボにおいてもアポシニンによる[11C]DHQ1の脳内動態の変化が認められた。即ち、アポシニンを投与したマウスでは、[11C]DHQ1投与後の脳内放射能はピークに達した後、急速に減少したのに対して、対照群のマウスでは緩やかに減少した。また、[11C]DHQ1投与後の脳内化学形を分析したところ、対照群のマウスでは、投与後1分および15分で脳内放射能の大分部が水溶性の酸化体であった。一方、アポシニン投与マウスでは、[11C]DHQ1の酸化が阻害され、投与後1分および15分でそれぞれ脳内放射能の65%および36%が脂溶性の還元体(未変化体)であった。 以上、[11C]DHQ1の動態はアポシニンによるレドックスの変化を反映し、[11C]DHQ1の脳内レドックス状態イメージングプローブとしての可能性が示された。
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