2013 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療計画におけるDual Energyを用いた新しいCT値-電子密度変換
Project/Area Number |
25461908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齋藤 正敏 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40241583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | electron density / dual-energy CT / treatment planning |
Research Abstract |
本研究の目的は、がんの放射線治療における無駄な被曝低減のために、より正確な3次元線量分布計算を実現可能とする、Dual-Energy(DECT)を用いた全く新しい『CT値-電子密度変換法』の開発である。本目的達成のため研究期間内に、臨床用Dual-Energy CT装置や放射線治療計画装置への本手法の導入・実行を通して、本手法の基本原理の妥当性を実証するとともに、放射線治療計画における線量分布計算の精度を検証する。本年度の研究計画項目は、①エネルギー差分CT値と電子密度との対応関係の実証、②各種撮影条件変化の影響調査、の2点である。「エネルギー差分CT値と電子密度との対応関係の実証」では、理論的に予測されている”エネルギー差分CT値”と”電子密度”間の比例関係を実験的に確認するとともに、本手法の適用可能な電子密度範囲を明らかにするため、実際に臨床で使用されているDECT装置と電子密度ファントムを用いて「エネルギー差分CT値-電子密度変換」のCT実験を行った。その結果、空気からアルミニウムまでの広い電子密度範囲でエネルギー差分CT値と相対電子密度に間に比例関係が成り立つことを実証した。一方「各種撮影条件変化の影響調査」に関して今年度は、電子密度ファントムの中心部(頭部に相当)あるいは周辺部のみ(胸部に相当)を被写体として使用し、そのサイズ変化によって生ずるビームハードニング効果の『エネルギー差分CT値-電子密度変換』への影響を調べた。その結果、”エネルギー差分CT値”と”電子密度”間の比例関係は被写体サイズの変化に対しても十分に安定であることが確認できた。また、高電圧側X線管に錫フィルタを付加することは、『エネルギー差分CT値-電子密度変換』の安定化や、被曝線量の低減に有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた「エネルギー差分CT値と電子密度との対応関係の実証」と「各種撮影条件変化の影響調査」の2点を実施し、『CT値-電子密度変換法』の基本原理の妥当性をある程度実証できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の3点に重点を置き推進する。 ①各種撮影条件変化の影響について:患者体内に人工歯根等のインプラントが存在することを想定し、金属ロッド(例えばチタン)を電子密度ファントムに挿入して生ずるメタルアーチファクトの『エネルギー差分CT値-電子密度変換』への影響を調べる。 ②3次元線量分布の計算結果の精度や安定性を検証: 様々な撮影条件で取得した『エネルギー差分CT値-電子密度変換』の結果が、3次元線量分布計算に与える影響を定量的に検証する。 ③撮影条件の最適化:より確かに、より低い被曝で放射線治療計画を実行するためのDual-Energy CT装置の撮影条件(管電圧,管電流,付加フィルタなど)を最適化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であった高純度金属ロッドの種類やサイズ等仕様の最適化が年度を跨り進行中であること、また、年度内の研究発表がなく関連旅費が不要であったため。 高純度金属ロッド(チタンやアルミニウムなど)の購入、研究発表および治療計画装置を使った3次元線量分布計算に関する調査等の旅費として使用する予定である。
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