2014 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療における腸管の耐容能向上を図る機能性食品の開発
Project/Area Number |
25461913
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江島 泰生 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70423233)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30546502)
吉田 賢史 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80351906)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 放射線腫瘍学 / 抗酸化物質 / 消化管防護 |
Outline of Annual Research Achievements |
【~平成25年度】 マウスの腹部に腸管障害を起こす放射線照射を行い、これに還元型コエンザイムQ10を投与することで腸管障害が減弱できることを確認した。その際、小腸絨毛の細胞内でのアポトーシスが減少し、活性酸素発生が放射線照射単独に比べて減弱しているという結果が得られた。次いで、還元型コエンザイムQ10による放射線腸管障害の防護作用を観察するための最適な条件を探る実験を行い、照射線量・照射範囲・薬剤投与量・薬剤投与時期・溶媒を検討した。 【平成26年度】 還元型コエンザイムQ10が正常組織の放射線防護効果を持つ一方で、腫瘍への放射線治療の効果を低下させないかという懸念があったので、腫瘍細胞への作用およびその機序を検討するために複数の腫瘍細胞のcell lineを用いて実験を行った。その結果、還元型コエンザイムQ10投与によって細胞内活性酸素量が低下し、細胞増殖能は抑制されることが観察された。細胞内の活性酸素発生があるレベルにまで達すると細胞死が誘導されることが報告されているが、腫瘍細胞においては還元型コエンザイムQ10によって同様の反応が誘導されると推測される。つまり正常組織では、放射線照射による活性酸素発生を抑制するが、腫瘍細胞では単独作用として活性酸素を上昇させている。この、一見正反対とも言える作用が放射線照射と併用した場合にどのような結果をもたらすかは、今後の検討課題である。 また、還元型コエンザイムQ10投与後のマウス体内薬物分布について、小腸内容物・血漿・小腸組織・膵臓組織中の濃度を測定した。いずれの部位においても、投与なし個体との比較で総コエンザイムQ10濃度の上昇が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の仮説である、本薬剤が放射線腸管障害の防護作用を有することが証明できている。作用機序においても、活性酸素発生に影響を及ぼして作用していることが示されている。しかし、臨床応用を実現するために必要と考えられる、安定した効果発現状況の把握、至適投与方法および作用機序の解明は、まだ十分とは言えない。 当初の研究計画時、平成26年度に予定していた生体吸収性スペーサーと併用時の安全性、有効性の評価については、まだ未着手である。代わりに平成27年度に予定していた腫瘍細胞に対する影響については結果を出しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
安定した効果発現を得るための条件設定を一層突き詰めて確立する必要がある。作用機序の解明については、細胞内活性酸素発生の母地であると考えられるミトコンドリア呼吸鎖に対する影響の検討やメタボロミクス(血中代謝物分析)による体内現象の包括的な評価を加えて検討を考えている。
|
Causes of Carryover |
一部に当初計画していた研究計画を平成26年度と27年度で入れ替えて進めているために差異が生じているが、所要額全体の4%未満である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度請求額全体の4%の変更であり、概ね当初の計画通りに使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)