2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25461933
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
高井 伸彦 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (70373389)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重粒子線 / 炭素線 / 脳腫瘍 / 認知機能 / RBE |
Research Abstract |
脳局所照射領域の毛細血管密度の変化を計測するため,認知機能の低下を生じさせる線量(30Gy)を半脳に照射し,新たな測定法の定性および定量評価能力の検討を実施した。 これまで炭素線10-30Gy照射により,照射1週間後から注意力の低下が生じることを明らかにしてきたが,脳内毛細血管密度への影響を解析したところ,照射1週間後から,記憶に重要な海馬領域(Hippocampas)および大脳皮質(Cortex)の毛細血管密度が低下し始めることを、光学的に確認した。また照射12週間後では,非照射側の海馬領域の毛細血管密度の低下が生じており,照射影響が,脳全域に広がることが示唆された。 照射1週間後において定量が可能ということが判明したことから,この評価法によって,線量依存性を示すことができるかについて検討するため,10 -60 Gy照射を行なった。その結果,照射1週間後において,10-30Gyでは線量依存性が認められるものの,60Gy照射では血液脳関門の破綻および血管透過性亢進によるものと考えられる要因によって,バックグラウンドの増加が生じ,定量性が確保できないことが判った。また脳内毛細血管密度を指標に検討したことにより,炭素線により脆弱性を示す脳内部位があることが判明した。これらの結果は、3th International Society of Radiation Neurobiology(2013年・第3回国際放射線神経生物学会)において、招待講演【Early and late impairments of spatial cognition after local brain irradiation with carbon ions】を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定された炭素線照射後の認知機能の解析は終了し、認知機能に関わる脳領域の毛細血管密度、局所血流量および糖代謝などの要因の中で、毛細血管密度の指標が最も認知機能と関連性があることを示した。また次年度(26年度)に予定されていた脆弱性を示す脳領域の傷害に起因する発現タンパク物質(TNF, HSP, Bcl, NGF, etc)などの解析も一部実施しており、脆弱性を誘起する因子の絞り込みを行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
毛細血管密度の指標とした解析法の定量性の確保が最優先であり、それに平衡して、炭素線に脆弱性を示した海馬の障害機序を明らかにする必要がある。またその解析次第では、障害を防護することのできる薬の開発につながると考えている。
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