2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい癌細胞初代培養系(CTOS法)を用いた癌細胞の休眠状態と放射線感受性の検討
Project/Area Number |
25461937
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
遠藤 洋子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, 研究員 (20359300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正宏 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (10342990)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線感受性 / 低酸素 / 休眠状態 / 分化 |
Research Abstract |
本研究は、新しい癌細胞初代培養系(CTOS法)を用いて癌細胞の休眠状態と放射線感受性を検討することを目的としている。 これまでに、複数例の大腸癌CTOSを用いて1%O2、増殖因子非存在下で長期間の休眠状態が誘導されること、また休眠状態の大腸癌CTOSはALPi等の分化マーカーとLGR5等の幹細胞性マーカーを同時に高発現していることを見出してきた。この休眠状態を利用して、癌細胞の放射線感受性試験を行った。大腸癌CTOSは、休眠状態の間は放射線に対して抵抗性を示すが、再酸素化し増殖因子を加えることで再増殖を促すと、細胞増殖に伴って細胞死が誘導されることが明らかとなった。増殖因子非存在下では、放射線照射後のDNA修復が不完全であるためと考えられた。 そこで実験条件を変更し、増殖因子存在下でCTOSを一定期間増殖させ、その後放射線照射する系を確立した。大腸癌CTOSに高線量のX線を照射すると、2週間の休眠状態の後、再び増殖することを見出した。この再増殖する癌細胞はclonalであり、放射線抵抗性のクローンが大腸癌CTOSに存在することが示唆された。この実験系は、再発の起源を探り、in vivoの放射線照射後の再増殖を模倣する実験系となりうると考えられる。BrdUによるラベリングにより、この再増殖クローンは、放射線照射時には増殖していない細胞群であることが明らかとなった。また、in situ hybridyzationによりLGR5の遺伝子発現を調べたところ、再増殖クローンではLGR5が高発現していた。今後は、CTOS内低酸素と再増殖の関係や、分化状態の違いによる再増殖の差を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画時には、1%O2、増殖因子非存在下での休眠状態における放射線感受性に着目したが、この条件はDNA修復が不完全なため、再増殖する際に細胞死することが明らかとなった。そこで実験条件を変更し、放射線照射後、clonalに再増殖する実験系を確立した。再増殖するクローンは、放射線照射時には増殖していない細胞であることが示唆された。従って、角度を変えて、癌細胞の休眠状態と放射線感受性、また分化状態の違いと放射線感受性を検討することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射後、clonalに再増殖する実験系を用いて、再発の起源となる癌細胞を探索する。特に、放射線照射時の低酸素状態、分化状態、細胞周期等に着目し、どの状態の癌細胞が放射線抵抗性を示すのかを検討する。 低酸素状態の検討には、HREプロモーターを利用したgene-tagging法によるcell trackingを行う。 分化状態の検討は、分化や幹細胞性の維持に関連するシグナルの阻害剤や、培養条件による分化状態の差を利用して、放射線感受性試験を行う。 また、マイクロアレイを行い、gene-taggingに適した分化または幹細胞性遺伝子を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究室で共同で使用する培地、試薬等を、他の研究費より支出してもらったため。 初代培養に必要な培地は高額であるため、次年度以降に本研究費より支出する。 また、学会発表のための会費、旅費等に使用する。
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