2014 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞による移植前血管床構築に基づく次世代細胞治療方法の確立
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25461940
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲垣 明子 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (20360224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 昌史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50400453)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵島移植 / 糖尿病 / 血管新生 / 皮下移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症糖尿病に対する根治療法である膵島移植は、局所麻酔下で門脈から肝臓内に膵島を移植する細胞移植療法である。膵島移植は低侵襲であるという特長があるが、治癒には2、3回の移植を要することから、アプローチが容易で門脈移植よりもさらに低侵襲である皮下移植の実現が望まれる。しかし、皮下は肝臓等と比べて血管が少なく移植膵島の生着が著しく不良であることから、本研究では移植予定箇所の皮下に予め脂肪由来幹細胞(Adipose-Derived Cell: ADSC)等を導入することで血管床を構築し、その後、膵島を移植する二段階移植法による皮下膵島移植方法を確立することを目的としている。 平成26年度は移植予定箇所への皮下血管床構築により皮下膵島移植が成績向上するかどうかを、新生血管誘発効果の有する塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)徐放デバイスを適用したラットモデルで検証した。 実験はストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットの皮下にbFGF徐放デバイスを6-10日間留置後、デバイスを抜去後に出来た皮下ポケットに膵島を移植した(bFGF群)。bFGFを含まないデバイスを移植前に留置したラットをコントロール群とした。膵島移植後、経時的に血糖と体重を測定し、さらに移植後2ヶ月以降に移植部位における膵島生着を免疫染色で確認した。その結果、bFGF群では血糖の正常化(<200mg/dl) と体重の増加を認めたが、コントロール群では移植後も血糖400 mg/dlで体重も減少した。また、bFGF群では移植後2ヶ月以降における膵島の生着を確認したが、コントロール群では移植膵島はほとんど確認出来なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮下における移植前血管構築によって膵島の生着が促進し、糖尿病ラットの治癒と移植膵島の生着を確認することが出来た。ADSCによる移植前血管床構築後に膵島を移植する実験と、移植膵島への血管申請の定量は次年度に実施するが、実験に必要な基礎的条件の検証は実施済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
ADSCによる移植前血管床構築が膵島移植成績に及ぼす影響について検証するとともに、移植膵島周囲への新生血管の数が移植予定箇所に血管床を予め構築することで増加するかどうかについて多光子顕微鏡を用いて検証する。
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Causes of Carryover |
消耗品費に関しては実験を効率的に実施することにより支出額を予定より少なく抑えることが出来、また旅費の支出が無かったことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は各実験における実験動物、抗体、膵島分離用酵素、実験器具等の物品購入に使用し、また当申請課題の内容に合致する研究発表および情報収集のための学会出席基経費や論文投稿に関わる経費に使用予定である。
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Research Products
(1 results)