2013 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞を活用した糖尿病に対する皮下細胞移植治療法の研究
Project/Area Number |
25461943
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角 昭一郎 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (80252906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病治療 / 融合細胞 / 間葉系幹細胞 / 細胞スフェロイド / マクロカプセル化 / 核リプログラミング |
Research Abstract |
ラット膵島細胞とラット及びマウスの骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を用いて基礎的な検討を行い、以下の知見を得て報告した(Yanai G, Hayashi T, Qi Z, Yang K-C, Shirouzu Y, Shimabukuro T, Hiura A, Inoue K, Sumi S. Electrofusion of Mesenchymal Stem Cells and Islet Cells for Diabetes Therapy: A Rat Model. PLOS ONE 8: e64499, 2013. )融合細胞で相互に核のリプログラミングが起き、膵島細胞由来核でMSC特異的遺伝子、MSC由来の核でβ細胞特異的遺伝子が発現した。膵島由来の核でKi67が新たに発現し、caspase3の発現が抑制された。培養融合細胞でブドウ糖反応性インスリン分泌が20日間維持された。糖尿病ラットへの同系移植で、膵島単独では移植効果が無い膵島量(1000個)から作成した融合細胞の移植で、91日間にわたり次第に増強する移植効果(血糖低下・体重増加)が観察された。 以上の研究成果と膵島細胞が2次元単層培養とりも細胞スフェアを形成させることでβ細胞機能が向上するとの研究結果を受けて、ラット融合細胞の効率的スフェア化のための独自のデバイスを発明し、試作品でその有効性を確認した(特願2014-34577、タイトル:スフェロイド作製用デバイス、回収方法、及びスフェロイド製造方法、出願人:株式会社クラレ・国立大学法人京都大学、出願日:2014年2月25日)。 現在までに、ラット融合細胞を定常的に作成する体制が整い、細胞塊を作成して、in vitroでの詳細な検討と、直接の同種移植、マクロカプセル化しての異種移植等の実験を実施しており、平成26年中に一定の成果を得たいと目論んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵島細胞と間葉系幹細胞(MSC)の融合細胞により良好な機能を発現させ、移植時あるいはポリビニルアルコール(PVA)マクロカプセル化時の歩留まりを向上させるためには、融合細胞のスフェロイド化が必須と判断し、移植実験に必要な数百から数千個のスフェロイドを効率的に作成するデバイスの発明、試作品作成のその性能評価に時間を要した。幸いにも、この発明は関係各位から高く評価され、企業との共願で特許を申請し、製品化に向けての準備が進行中である。この新規デバイスは、本研究の副産物として一定の評価を頂けるものと確信する。 元々の研究計画では、平成25年度中に融合細胞やマクロカプセル化MSCおよび融合細胞の基礎的検討を終了する予定であったが、この部分は、今後、より効率良く進めることができると考えている。即ち、上記の細胞スフェロイド作成の要素は組み込まれていなかったが、今後の研究では、融合細胞作成後、培養増殖させ、細胞スフェロイド化して実験に供することとなり、より良好なβ細胞機能や細胞の歩留まりによって大きな成果が得られるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、膵島細胞と間葉系幹細胞(MSC)の電気的融合細胞による糖尿病治療の可能性を検討することを主目的としている。当初の計画では、膵島の供給を独自に行うラット膵島分離で行う事としていたが、昨年、臨床膵島移植が再開されたことを受けて、膵島分離施設からブタ膵島の提供を頂ける目処が立った。このため、ラット膵島および融合細胞で基礎的な検討を行った後には、ブタ膵島とブタ骨髄由来MSCを用いて融合細胞を作成する方向で計画中である。また、融合細胞の治療への応用として、免疫隔離ゲルを用いたマクロカプセル化と組み合わせを当初の研究対象としており、当面はラット融合細胞での糖尿病マウス治療実験を進めるが、その後はブタ融合細胞を用いたラットの治療実験を行い、その後、可能であれば、ブタ融合細胞を用いたイヌなどペット動物の糖尿病治療の実現へと進めていく方針である。一方、MSCの血管新生誘導作用や免疫制御作用等を考慮すると、β細胞機能とMSCの機能を併せ持つ融合細胞は、通常膵島が生着しない皮下や脂肪組織内でも生着する可能性があり、また、免疫隔離を行わないで細胞自体を移植する同系移植において免疫拒絶反応を制御することで必要とされるk\めんえき抑制を軽減することができる可能性も十分考えられる。今後は、この方面の研究も含めて推進していき、将来の臨床融合細胞移植への基礎的データとしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
膵島と間葉系幹細胞(MSC)の融合細胞を糖尿病治療に応用する際、細胞スフェロイド化することの重要性から、細胞スフェロイド作成デバイスの作成に注力したため、多くのラットを使った融合細胞作成実験に着手するのが遅れたため、その分の研究費が使えなかったため。 新規細胞スフェロイド作成デバイスを用いて、非常に効率的に細胞スフェロイドを作成する事が可能となり、その後の実験を迅速に、効率的に行うことが可能となった。昨年度十分に実施できなかった融合細胞を用いた実験を行うために、本年度は当初計画より多くのラット等実験動物が必要となるため、次年度使用額はこれに使用する。
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Research Products
(12 results)