2014 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞による肝臓内免疫細胞の膵島グラフト傷害抑制メカニズムの解明
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25461948
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石山 宏平 広島大学, 大学病院, 病院助教 (50437589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵島移植 / NK細胞 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臨床膵島移植の成績向上のために肝臓内免疫細胞の膵島グラフトに対する細胞傷害活性を抑制するための新しい免疫抑制療法の開発を目的としている。 in vivoにおいて系門脈的膵島移植後の肝臓内NK細胞のフェノタイプ解析を行ったところ、膵島β細胞の細胞表面に表出するTRAIL受容体やCXCL10に対応するligandとなる表面抗原(TRAIL、CXCR3)の表出が維持、増強されていることが確認できた。これらのNK細胞はDX抗原を欠いたメモリーNK細胞と呼ばれる特殊な細胞集団に一致することも確認できた。すなわち、膵島移植により肝臓内NK細胞が非特異的に感作され、続けて膵島移植が行われた際や、肝臓内に炎症性変化を生じた場合には肝臓内メモリーNK細胞が迅速に活性化することでグラフト膵島を傷害することが推測される。肝臓内免疫を制御することが膵島移植成績向上に寄与するという当初の仮説に一致する結果が得られた。 次に、間葉系幹細胞による肝臓内免疫細胞の膵島に対する細胞傷害活性抑制効果の確認を行った。in vivoにおいて、間葉系幹細胞を系門脈的に投与してたところ肝臓内NK細胞に表出するTRAIL分子の著明な抑制効果が確認できた。in vitroにおけるNK細胞と間葉系幹細胞の共培養によるNK細胞活性の抑制効果と同様の所見が得られた。実際に、系門脈的膵島移植の際に間葉系幹細胞を同時移植した場合、まだ症例数が少なく結論には至らないが、血糖改善効果やレシピエントの術後回復力に効果がある印象を得ている。現在は、移植手技も安定してきたため、メカニズム解析として経時的な変化を確認すべく症例数を増やしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの系での実験計画を行ったうえで、MSCによるNK細胞活性化抑制効果が確認できた。in vitroの系を用いて、MSCによる抑制メカニズム解析を行うことよりも、in vivoの系によりMSCを同時投与することで系門脈的膵島移植のグラフト生着率向上を確認することが優先されるべきと判断した。現在は、膵島移植のモデルも手技的に安定しており、当初の研究目的に沿った実験が行えていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MSCを介した肝臓内NK細胞の活性化制御による系門脈的膵島移植の直接的な成績改善効果があるかについてin vivoによる糖尿病マウスへの投与実験を積極的に進めていく。研究内容を論文化するに当たり、in vitroでのNK細胞抑制メカニズムについても詳細を確認していく。 推進方法としては、申請者が所属する研究室および、米国留学中に研究を行ったDr. Yoko Mullen(Beckman Institute of City of Hope、USA)の研究室と定期的な意見交換を行い、研究の方向性の確認と修正を行いながら円滑に行っていく。
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Causes of Carryover |
物品の購入に少額の剰余金が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越して物品購入の費用に計上する
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Research Products
(6 results)