2014 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺未分化癌の分子標的開発に向けたEpCAMの機能解析
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25461976
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 研一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10334905)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 甲状腺未分化癌 / 稀少癌のバイオロジー / 分子標的の探索 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)平成25年度に、甲状腺未分化癌細胞株2株と分化癌細胞株2株で、EpCAM, CD44 standard form, CD44 variant formおよびclaudin-7の発現を解析し、未分化癌細胞株で、EpCAMの発現増加、CD44 standard form発現の低下とvariant formの増加を認め、臨床組織でも同様の傾向を認め報告した(Okada et al., PLOS ONE. 9(4):e94487, 2014)。平成26年度は、これらの機能や未分化癌の増殖や浸潤に対する影響を解析した。 2)EpCAMはCD44 variant formやclaudin-7と共局在し、様々な機能を発揮していることが報告されているが、未分化癌細胞株においても、EpCAMとclaudin-7が複合体を形成していることを、免疫沈降法を用いた系で確認した。 3)甲状腺未分化癌細胞株2種(FRO, ACT-1)で、EpCAMの発現をsiRNAで抑制すると、これらの細胞の増殖が抑制されることを観察した。 4)上皮間葉転換(EMT)の過程で、CD44の発現パターンが変化することが報告されているので、EMTマーカーの発現を分化癌細胞株と未分化癌細胞株とで比較した。その結果、分化癌細胞株2種(TPC-1, FTC-133)と未分化癌細胞株2種(FRO, ACT-1)とで、E-カドヘリン、ZEB1、ESRP1/2の発現が明らかに異なることを観察した。 5)上記の結果の一部を、第73回日本癌学会学術総会で発表した(中村、伊藤他)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)培養細胞を用いた実験では、得られた結果の再現性を検証しながら研究を進めている。未分化癌で発現が高いEpCAMの細胞増殖に対する影響は、予想より大きくなかったため、癌細胞の他の悪性度(浸潤能や転移能など)との関連での解析を始めたところである。 2)EMTマーカーの発現とEpCAMとの相関が認められたことは、予想外の知見であり、本研究の発展性を期待させる結果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で、甲状腺未分化癌のバイオロジーにEpCAM, CD44, claudin-7が関与していることが強く推測されている。現在、EpCAM発現をknock downした際の細胞の浸潤能や転移能の解析を進めており、未分化癌細胞のどのような性質にEpCAMが関与しているのか解析を進める。 また、上皮間葉転換(EMT)との関連を示唆するデータが得られており、EMTとEpCAMおよび関連分子の関連の解析を進める予定である。 一方で、培養系に持ち込まれた甲状腺未分化癌細胞では、臨床甲状腺未分化癌で認められるような極めて高い増殖能は観察されない点が研究を通じて疑問点として残っている。平成27年度はin vivoの系での解析も進めたい。
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Research Products
(2 results)