2014 Fiscal Year Research-status Report
新規網羅的スクリーニング法によるサブタイプ別乳癌細胞における薬剤耐性遺伝子の検索
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25461997
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 麻衣子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50348661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20216261)
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327543)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トランスポゾン / 抗癌剤耐性 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々独自の全く新しい、トランスポゾンを利用した薬剤耐性遺伝子スクリーニング法を用いて、乳癌細胞株における薬剤耐性遺伝子の同定を試みることを目的としている。本システムを用いることで、ヒトゲノム上に存在する全ての遺伝子を網羅的に対象としたスクリーニングが可能であり、しかも「任意の乳癌細胞株」と「任意の薬剤」を用いて薬剤耐性に寄与すると考えられる遺伝子の検索が可能となる。乳癌細胞株のうちMDA-MB468のトランスポゾン導入細胞に対して、アントラサイクリン系抗癌剤に属するエピルビシンを添加し、約30個のエピルビシン耐性コロニー樹立に成功した。さらにT47Dのトランスポゾン導入細胞に対して、エストロゲン受容体のselective down regulaterであるフルベストラント耐性コロニーを樹立。SKBR3のトランスポゾン導入細胞については、ラパチニブを添加し、耐性コロニーを樹立することに成功した。本研究において、これら「ホルモン陽性乳癌細胞-フルベストラント」,「HER2陽性乳癌細胞-ラパチニブ」,「トリプルネガティブ乳癌細胞-エピルビシン」という組み合わせで候補遺伝子を同定した。さらに、放射線耐性についても、同様の手法で耐性遺伝子の同定を進めており、抗癌剤と同様に網羅的にスクリーニングが可能であることを示すと同時に、同定した遺伝子の機能的解析を現在進めている。今後は、臨床データとの相関関係を中心に研究を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌細胞と抗癌剤・ホルモン剤についての耐性遺伝子のみならず、放射線耐性についても、同様の手法で耐性遺伝子の同定を、同様に網羅的にスクリーニングが可能であることを示すことが本年度はできた。さらに、放射線耐性遺伝子の候補が、アポトーシス関連遺伝子であることから、一歩進めてこの遺伝子の機能解析を進め、放射線耐性のメカニズム解明の一旦を明らかにすることが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定した候補遺伝子について、臨床検体を抽出し、免疫染色等の方法で発現状況を確認することで、臨床データとの関連性をみていく。遺伝子候補が複数であるならば、NEXTBIO RESEARCH社のNextBio database system (http://www.nextbio.com)を用いることを考える。このデータベースは乳癌臨床試験におけるマイクロアレイデータを蓄積し、さらに各遺伝子の発現と臨床データを容易に対比することが可能である。我々はNEXTBIO RESEARCH社の研究者の協力を得て、本研究を行う上でこのデータベース使用のモニター登録を行っており、フルシステムが期間限定で使用することができる。本システムを用いて、候補遺伝子の発現と対象薬剤を用いた臨床試験の結果を対比し、膨大な遺伝子リストから次の実験を行う遺伝子を選定する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は300円であり、端数であるため、支出ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度研究費とあわせて、消耗品を購入する予定である。
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