2014 Fiscal Year Research-status Report
乳癌組織における腫瘍内浸潤樹状細胞の成熟化のメカニズムと予後との関連
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25462004
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
岩本 充彦 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20351398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / CD83 / CCR6 / CCR7 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、現在-80度で凍結された乳癌組織を、凍結ミクロトームを使用して5‐7μmの連続切片を作成している。乳癌組織は脂肪含有率が極めて高く、切片作成にはやや難渋しているが、切離スピードの調整ならびに組織をスライドグラスに付着させるための 筆の改良に伴い、精度が徐々に向上している。作成した切片に対して適宜免疫組織染色を行っている。免疫染色は間接酵素抗体法にて行っている。なお、陰性対照試験は、一次抗体としてPBSを用い、同様の操作を行うこととしている。染色精度も徐々に向上しているが、比較的長期保存された標本も多く、未だ染色不良となる切片も存在する。染色条件などを適宜変え、繰り返し染色を行っているが、まだばらつきが多いのが現状である。また、平行して乳癌組織本体、ならびにリンパ節に対しRT‐PCR法を用いてCC-chemokine recepter 6(CRR6)、CC-chemokine recpter 7(CCR7)、macrophage inflammatory protein-3α(MIP-3α)、macrophage inflammatory protein-3β(MIP-3β)の発現を検索している。 当初の予想より発現頻度が低いことが徐々に明らかとなってきた。理由は現在探索中である。さらに凍結標本を試料とし、GTC-CsC1法にて超遠心機を用い、total RNAを抽出している。その5μg(mRNA約500ng相当)からAMV transcriptaseを用いてcomplemantDNA(以下cDNA)を合成している。合成したcDNAの1/10量をtemplateとしてCCR6、CCR7、MIP-3α、MIP-3βそれぞれの増幅用primerおよびβアクチン増幅用primerを用いてpolynerase chain raction法(PCR法)に準じて遺伝子増幅を行っている。それぞれのケモカインで、発現頻度に大きな差があることが明らかとなってきた。さらに、腫瘍本体部とリンパ節間でも差があることが判明したことは興味深い成果である。また最先端の実験情報が得られる学会にも引き続き、積極的に参加し、情報の収集に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在当初の予定より染色がやや遅れている。さらに免疫染色も切片の状態不良、あるいは染色条件が一定でない等の理由で不安定であるため、安定化に時間を費やし、実験は遅れている。 凍結標本を試料とし、グアニンイソシアネート/セシウムクロライド法(GTC-CsC1法)にて超遠心機(33,000rpm)を用い、total RNAを抽出しているが、保存状態がやや悪い標本もあり難渋している。PCRはDNA Thermal Cycler(Perkin Elmer Cetus)を用いてCCR6、CCR7、MIP-3α、MIP-3βは25サイクル(94℃ 2分、55℃ 2分、72℃ 2分)βアクチンは22サイクル(94℃ 2分、55℃ 2分、72℃ 2分)を反応させているが、反応不良な材料もあり、同実験はやや遅延している。しかし、それぞれのケモカインで、発現頻度に大きな差があることが明らかとなり、さらに、腫瘍本体部とリンパ節間でも差があることが判明したことは興味深い成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記実験を安定化に努め、一連の実験を完了させる予定である。また、追加実験として、患者血漿250μ1を0.1%BSA-PBS(BSA0.1gをPBS(-)で解し、100mlに調整)にて8倍に希釈した後、その希釈液250μlにに4培容のHC1-ethanol(1:1,vol/vol,4℃)を添加後、4℃で6静地して試料を抽出し、-80℃で真空凍結乾燥する。各検体に溶解液(4mM HIL,150mM NaC1,2mg/ml BSA結晶)0.5mlを加えて撹拌し、同量の中和用緩衝液(200mM Tris-HCL(pH7.6),150mM NaC1,0.1%Tween20)を加え測定試料を作成する。各試料の測定はELISA法にて行予定である。全データを解析した上、統計学的処理を行い、medical chartsを検索し、腫瘍内浸潤成熟樹状細胞ならびにその他の因子が患者予後へいかなる影響を及ぼすか検討し解明する予定である。その際、現在明らかとなった腫瘍本体とリンパ節間での発言の相違に着目して夜ごとの関連を調査する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の遅延に伴い、購入予定であった抗体等が未購入であるため次年度使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年購入予定であった抗体等を次年度購入し、使用予定である。
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