2015 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌組織における腫瘍内浸潤樹状細胞の成熟化のメカニズムと予後との関連
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25462004
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
岩本 充彦 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20351398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乳癌 / 樹状細胞 / CD83 / CD1a |
Outline of Annual Research Achievements |
-80度で凍結された乳癌組織を用い免疫染色を行った。その際未熟樹状細胞はCD1aで、成熟樹状細胞はCD83で標識させた。切除リンパ節にも染色を行い、腫瘍本体とリンパ節間の成熟度程度を検索した。次いでVEGF、TGFβの発現も検索し、樹状細胞の成熟度との相関を調べた。続いてRT-PCR法、ELISA法を用いて腫瘍本体、リンパ節におけるCCR6、 CCR7、MIP-3α、MIP-3βの発現の有無を検索した。さらに腫瘍内のHER2/neuの発現を免疫染色して検索(1+の際にはFISH法を用いて確認)した。すべてのデータを患者予後と比較し、腫瘍本体内あるいはリンパ節における成熟樹状細胞の存在が予後因子となり得るかを検証した。CD1a、CD83共に染色は一部を除き良好であった。腫瘍本体とリンパ節間の発現率にも正の相関が認められた。またVEGF、TGFβの発現検索において、共にCD1aとは相関がみられなかったが、CD83とは負の相関が認められた。すなわちVEGF、TGFβの発現は樹状細胞の成熟度に依存していることが証明された。また腫瘍本体、リンパ節におけるCC-chemokine receptor 6 (CCR6) 、CC-chemokine receptor 7 (CCR7)、macrophage inflammatory protein-3α (MIP-3α)、macrophage inflammatory protein-3α (MIP-3β)の発現の検索においては、いずれも発現が低率であり、腫瘍本体ならびにリンパ節共に、その発現とには相関が認められなかった。患者予後との相関を検索したが、CD1a発現を認める未成熟樹状細胞の多寡と患者予後(健存率および生存率)とに相関はみられなかったが、CD83発現を認める成熟樹状細胞の多寡と患者予後とには相関が認められた。すなわち、成熟樹状細胞が発現している症例の方が、予後が良好であるとの結果が得られた。ホルモンレセプター、HER2発現と樹状細胞発現との相関は証明されなかった。
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