2016 Fiscal Year Annual Research Report
The development of tumor microenvironment-directed chemotherapy with molecular targeted agent for gastrointestinal cancer
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25462019
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 知志 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30457080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10403247)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (80535427)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 消化器癌 / がん幹細胞 / 浸潤・転移 / 低酸素状態 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素応答系の分子機構において、HIF活性が深く関わっていると考えられており、低酸素環境下(HIF発現下)での消化器癌、特に胃癌・大腸癌の血管新生が誘導される分子機序(関連遺伝子発現)を明らかにすることを本研究は目的としている。申請後、2013年にHIF-1αの発現が胃癌および大腸癌肝転移の予後を規定すると報告され、同時にHIF-1αとVEGFの発現との相関も指摘された。また、癌免疫治療では、免疫チェックポイントPD-1(Programmed cell death-1)/ PD-L1経路とその阻害剤が注目され、PD-L1はHIF-1の標的遺伝子であることが明らかにされつつある。 申請時は、胃癌・大腸癌細胞株数種を用いての血管新生遺伝子(VEGF、PDGF)や浸潤・転移関連因子(uPA system)等の発現の解析を計画していた。しかし、時間的・金銭的な効率と節約を考慮して、網羅的な解析を進めるのではなく、胃癌、大腸癌の臨床検体を用いた免疫染色等で各遺伝子の発現の相関および予後との関連の探索を先行させ、検索すべき遺伝子を絞り込むことに予定(順序)を変更することにした。直腸癌手術症例で術前放射線療法を施行した症例の治療前の生検材料および手術摘出標本を用いて、HIF-1、PD-L1の発現の変動を免疫染色にて検索した。 その結果、術前化学放射線療法により直腸癌組織中のHIF-1とともにPD-L1の発現が増強した症例があり、HIF-1の活性増強によるPD-L1発現誘導の可能性が推測された。またPD-L1の発現は腫瘍細胞だけではなく、腫瘍周囲のリンパ球(免疫細胞)にも見られ、化学放射線療法によりその発現は有意に増加した。臨床病理学的因子との相関の解析では、腫瘍細胞のPD-L1発現は術後の全生存期間の不良因子である一方で、PD-L1発現免疫細胞の浸潤はリンパ節転移を抑制する可能性が示された。
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Research Products
(4 results)