2015 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌におけるイノシトール3リン酸(IP3)受容体発現と臨床的意義の検討
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25462041
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柴尾 和徳 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10330987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 幸二 産業医科大学, 医学部, 特任教授 (50191226) [Withdrawn]
日暮 愛一郎 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (20289581)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イノシトール3リン酸 / 胃癌 / アポトーシス / 予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
イノシトール3リン酸レセプター(IP3Rs)は滑面小胞体の細胞膜に存在し、細胞内へのカルシウム放出に関与している。細胞内カルシウムシグナリングは重要な細胞機能に関与しているため、IP3Rsの発現もまた細胞機能に深く関与しており、アポトーシスや細胞増殖、分化との関連も示唆されている。 IP3レセプターには1型から3型の3種類のサブタイプが存在し、胆汁うっ滞性疾患で発現が減少するなど病因との関係が明らかになってきているが、胃癌を含めたヒト癌組織におけるIP3R発現の意義については未だ検討されていない。そこで、我々は胃癌切除例におけるIP3Rの発現を免疫組織学的に評価し、臨床病理学的解析を加え検討した。1型IP3Rは上皮(非癌部、癌部)で発現していなかった。2型IP3Rは、非癌部では胃底腺領域に発現しており、癌部でも様々な程度で発現を認めた。3型IP3Rは非癌部では胃小窩の頂端膜側(apical membrane)に発現しており、癌部では様々な程度で発現を認めた。2型、3型IP3R発現と臨床病理学的因子との検討を行ったところ3型IP3Rは予後規定因子とならなかったが、2型IP3Rは単変量解析で予後規定因子となり、多変量解析でもTNM分類と共に独立した予後因子となった。また、細胞増殖マーカー、アポトーシス関連蛋白などとの検討も併せ、IP3R発現はヒト癌治療における新しいターゲットとなる可能性が示唆されたため、今後学会、雑誌等で発表予定である。
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