2013 Fiscal Year Research-status Report
胃癌腹腔洗浄液および末梢血中癌細胞の検出と遺伝子解析を用いた術前化学療法薬剤選択
Project/Area Number |
25462043
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (50393129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CTC / フィルター型デバイス開発 / 転移 / CTCマウス / 分子標的治療 / Liquid biopsy |
Research Abstract |
1 末梢血中循環がん細胞(CTC)および腹腔洗浄液中がん細胞の検出と一細胞遺伝子解析 今年度はサイズ依存性のフィルター型デバイスとして細胞毒性の低い金属パラジウム(Pd)に用いた3D型Pd電鋳フィルターデバイスを試作した。正常血液に培養がん細胞を添加したSpike実験により本フィルター型デバイスは85%以上の回収率を有すること、染色時間を含めてCTC数を迅速(1.5時間)に計測できることを確認した。次に再現性良くCTCをいつでも採取できる担がんマウスCTCモデルを開発した。このマウス血液を上記CTC分離デバイスにアプライしたところ、数個から数十(百)個とばらつきはあるものの、CTCを感度よく検出できた。このCTCマウスモデルを用いて検討した結果、CTC数は転移の進展に伴い増加することが判明し、CTC検出が転移の早期診断に有用である可能性を明らかにした。 さらに上記CTC分離デバイスで単離した癌細胞の1(稀少)細胞遺伝子解析法について検討した。Ovation picoRNA増幅法をもちいて1~数個の細胞からRNAを抽出、RT-PCR法により5種類程度の遺伝子発現解析に成功した。また、GenomePlex Single Cell WGA Kit を用いて全ゲノムDNAを抽出し、この1~数個の細胞からKRAS変異などの解析に成功した。以上の結果から本デバイスを用いてCTCを高感度に検出・分離することにより患者にとって低侵襲に採取できる検体として、いわゆるLiquid biopsyへの応用が期待できる。 2 CTCの抗癌剤, 分子標的薬感受性の検討 上記、CTCマウスモデルを用いて経口フッ化ピリミジン薬を用いた化学療法や抗EGFR薬を用いた分子標的治療により、CTCが治療に反応して減少するか否か, すなわちCTCが治療のモニターになりうるか否かを検証できる前臨床試験モデルを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CTC分離フィルター型デバイスを独自に試作、性能評価を行い、ほぼ所期の性能を有することを確認した。またCTCマウスモデルを開発し、それを用いて生体内でのCTCの分離と採取に成功した。さらにCTCの抗癌剤や分子標的治療感受性を検討できるマウスモデルを確立した。以上、概ね所期の目標を達成したので達成度は70%程度と評価するが、小型化、ディスポ化などの課題は残っており、そのための2次試作機の開発は若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26 年度 1 末梢血中循環がん細胞(CTC)および腹腔洗浄液中がん細胞の検出と一細胞遺伝子解析 26 年度は、25 年度に開発したCTC分離デバイスおよび一細胞遺伝子解析システムを用い、マウスCTCモデルを用いて、胃癌におけるCTCの体内動態など基礎的検討を行う。さらに実際の胃癌患者検体を用いて、その手法の検出感度を評価すると共に、その遺伝子解析の精度を、切除標本などの遺伝子解析と比較することによりLiquid biopsy足りうるか否かを検討する。 2 微小癌細胞の抗癌剤感受性予測法の開発 26 年度は、25 年度において確立したCTCマウスモデルを用いて、実際に抗癌剤や分子標的治療に対するCTCの応答性を検討する。この際、単なるCTC数の減少だけでなく、感受性や耐性に関連した遺伝子発現についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現行のフィルター型CTC分離デバイスは中型で価格が高く,洗浄して再利用できるが、ゴミが付着して自家蛍光が観察の邪魔になるのでクリーンルームの使用が必要だった。そこで実用化のために25年度 は現行機を小型、ディスポ化した新規CTC分離デバイスの試作機 を設計したが、発注が間に合わなかった。 26年度にはこの新規CTC分離デバイスの試作機を発注し、性能評価を行い、実用機開発につなげてゆく予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Development of a New Rapid Isolation Device for irculating Tumor Cells (CTCs) Using 3D Palladium Filter and Its Application for Genetic Analysis.2014
Author(s)
Yusa A, Toneri M, Masuda T, Ito S, Yamamoto S, Okochi M, Kondo N, Iwata H,Yatabe Y, Ichinosawa Y, Kinuta S, Kondo E, Honda H, Arai F, Nakanishi H.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 9
Pages: 1-11
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Survival analysis of adjuvant chemotherapy with S-1 plus cisplatin for stage III gastric cancer.2014
Author(s)
Takahari D, Hamaguchi T, Yoshimura K, Katai H, Ito S, Fuse N, Konishi M, YasuiH, Terashima M, Goto M, Tanigawa N, Shirao K, Sano T, Sasako M.
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Journal Title
Gastric Cancer
Volume: 17
Pages: 383-386
DOI
Peer Reviewed
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