2013 Fiscal Year Research-status Report
癌細胞とクッパー細胞の相互作用に着目した血行性肝転移メカニズムの解明
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25462078
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近藤 匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00375495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 潔 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20361339)
田村 孝史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20633192)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝転移 / クッパー細胞 / 肝微小循環 / 大腸癌 |
Research Abstract |
[内容] ラットをクッパー細胞除去群と非除去群に分けたのち, 大腸癌細胞を血管内投与して直後の肝類洞内動態を蛍光顕微鏡で観察した. さらに投与2週間後に肝臓を摘出して転移形成を確認した. 生体蛍光顕微鏡観察において, 投与30秒後より腫瘍細胞は類洞内を流れ, 類洞内皮に膠着した. クッパー細胞除去群と非除去群では腫瘍細胞投与後2時間までは膠着細胞数に差を認めなかったが, 投与6時間後では非除去群で膠着腫瘍細胞数は有意に低値であった. クッパー細胞存在下では腫瘍細胞はクッパー細胞と同部位に膠着する傾向があり, その割合は時間と共に増加することが判明した. 2週間後の肝組織において, クッパー細胞除去群では著明に転移結節が増加していた. ラット肝転移モデルにおいてクッパー細胞は肝類洞内で腫瘍細胞と膠着し肝転移を抑制する働きのあることが考えられた. [意義] 生体蛍光顕微鏡を用いて, 肝類洞内におけるクッパー細胞と腫瘍細胞の動態をin vivoで観察することに初めて成功した. さらにクッパー細胞を除去することによりクッパー細胞と膠着する腫瘍細胞が減少する一方で肝転移数が増大することが明らかとなり, クッパー細胞は腫瘍転移を抑制する働きのあることが考えられた. [重要性] クッパー細胞と腫瘍細胞との相互作用が肝転移抑制に重要であり, この相互作用を促進することが効果的な肝転移の抑制につながるといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度に予定していた「転移形成の確認」「生体蛍光顕微鏡による肝類洞内の癌細胞動態の解析」を施行した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) クッパー細胞と腫瘍細胞の膠着を証明: 生体蛍光顕微鏡においてクッパー細胞と同部位に認めた腫瘍細胞が, クッパー細胞と膠着していることを電子顕微鏡で検討する予定である. (2)クッパー細胞と腫瘍細胞の相互作用を証明: クッパー細胞が腫瘍細胞投与により活性化されているか, クッパー細胞関連サイトカイン濃度を肝組織で検討する予定である. (3)クッパー細胞が肝転移抑制に働く期間の検討: 腫瘍細胞投与とクッパー細胞を除去する時期を変え肝転移結節数の変化を検討中である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験を遅滞なく進めることができたため, ラット・試薬が想定より少ない使用量となった. 電子顕微鏡観察用検体作成およびサイトカイン計測用のELISAキット購入費用とする.
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Research Products
(1 results)