2013 Fiscal Year Research-status Report
肝虚血再潅流障害における分枝鎖アミノ酸の新規分子機構の探索
Project/Area Number |
25462086
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅原 元 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (00402587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20237564)
國料 俊男 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60378023)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
板津 慶太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90534842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝虚血再潅流障害 / 分枝鎖アミノ酸 |
Research Abstract |
肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)を用いたBCAAの新規分子機構の探索:肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)に対してBCAA (branched-chain amino acids)の投与量1gを至適投与量とした。またアミノ酸投与30分後に血中濃度が最大になるとの報告を参考に、肝虚血再潅流の1時間前に1回目のBCAAの投与を行なった。術後2-4時間の副腎皮質ホルモンの分泌亢進によるSurgical Diabetesを回避するために術後6時間後に2回目のBCAAの投与を行ない、術後24時間後の肝臓を採取した。肝組織で炎症関連因子であるIL( Interleukin) -6, TNF (Tumor necrosis factor)-aなど、血管収縮因子であるET(endothelin )-1やICAM(Intercellular Adhesion Molecule), VCAM(vascular cell adhesion molecule)の発現をリアルタイムPCR法にて検討した。 BCAA非投与群においてIL-6, TNF-a、ET-1、ICAM、VCAMの発現が亢進されていたが、BCAA投与群においてはIL-6, TNF-a、ET-1、ICAM、VCAMすべての発現が抑制されていた。また血液生化学的検査(白血球数、赤血球数、血小板数、AST、ALT、ヒアルロン酸など)においてもBCAA非投与群と比較してBCAA投与群においてもデータの改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)を用いたBCAAの新規分子機構として炎症関連因子、血管収縮因子の関与を明らかにした。しかし肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)の肝臓を用いた網羅的遺伝子解析によるBCAA関連遺伝子の探索が不十分である。またシグナル伝達の検討が行なえていないことよりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)の肝臓を用いた網羅的遺伝子解析によるBCAA関連遺伝子の探索を行なう。またシグナル伝達の検討も行なう。 正常肝細胞株を用いたBCAAの新規分子機構の基礎的研究:BCAAは、骨格筋においても代謝されるため、投与したBCAAの生体内での機能解析には限界がある。BCAA代謝のBCAA代謝の第一段階酵素であるBCAT(branched-chain aminotransferase)、第二段階酵素であるBCKDH(branched-chain α-ketoacid dehydrogenase)発現を標的にしたsiRNA を作成し、正常肝細胞株に導入しその発現抑制効果をウェスタンブロッティング法、リアルタイムPCR法にて検討する。BCAT発現をsiRNAにて抑制した正常肝細胞株にBCAAを投与し、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析をおこない、BCAA関連遺伝子の探索をする。 生理学的アプローチによるラット肝でのBCAAの新規分子機構の基礎的研究:BCAAは生体内では筋肉などの他臓器においても代謝を受けており、他臓器での影響を除外するため、分離肝潅流法を用いて肝臓のみを分離し、潅流液中にBCAA投与を行い、BCAA投与・非投与での肝臓におけるBCAA関連遺伝子の動態について検討する。また生体内でのBCAAの効果について蛍光(rhodamine 6G 0.144 mg/kg iv)標識した白血球などを用いて、肝臓類洞壁への白血球の接着、微小循環障害について生体顕微鏡による検討を行う。
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