2015 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞におけるC5aRの発現と機能解析と新しい治療法の開発
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25462099
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
新田 英利 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90555749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20240905)
中原 修 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (40583042)
別府 透 熊本大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70301372)
高森 啓史 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (90363514)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胃癌 / 補体 / C5a受容体 / 浸潤 / 肝転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で胆管癌においてC5aR発現癌細胞はC5aに反応することでMMP産生を亢進させ、かつ細胞運動を活性化させることで転移、浸潤に寄与していることが明らかであった。今回の研究目的は臨床検体におけるC5aRの発現と予後の関連を評価し、癌の増殖・浸潤におけるC5aRの役割を解析することである。 胃癌組織におけるC5aR発現の解析;我々はまず胃癌の診断で切除術を受けた168例について抗C5aR抗体を用いて免疫化学組織染色を施行した。結果、C5aR高発現群は低発現群に比較し、無再発生存、累積全生存ともに有意に不良であった。C5aR高発現胃癌は深達度、脈管侵襲陽性、肝転移再発と有意な相関を認めた。さらに胃癌肝転移巣標本を多施設から集積し、肝転移巣でのC5aR発現を免疫組織染色で評価したところ、肝転移巣のサイズ、原発巣でのC5aR発現、原発巣での脈管侵襲と有意な相関を認めた。 胃癌浸潤メカニズムの解析;胃癌細胞株を用いた実験ではMKN1,MKN7にC5aRの発現を認め、C5a刺激により浸潤能が亢進し、C5aRをSiRNAでknockdownあるいはC5aR antagonistで処理することで浸潤能が抑えられた。C5aR高発現胃癌細胞株を作成し、Invasion assay、real time imagingで解析したところ、C5a刺激により有意に浸潤能・細胞運動が亢進することが分かった。また細胞形態もC5a刺激によりFilopodia, stress fibers、membrane rufflingなどの発現が見られた。さらにC5a刺激により胃癌細胞でのRhoAの活性化が起こっていることが分かった。 以上からC5aRは胃癌の浸潤を亢進し、血行性転移に関与している可能性があると考えられ、現在英文雑誌に投稿中である。今後はこれらをターゲットとした新しい胃癌治療の確立を目指す。
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