2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌間質細胞の表現型に基づく治療抵抗性機序解明と抗間質薬内包ナノカプセルの開発
Project/Area Number |
25462116
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前山 良 九州大学, 大学病院, 助教 (10611668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水元 一博 九州大学, 大学病院, 准教授 (90253418)
当間 宏樹 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (80437780)
大内田 研宙 九州大学, 学内共同利用施設等, 講師 (20452708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵癌 / 癌間質相互作用 / 化学療法抵抗性 / ナノカプセル / 抗繊維化薬 |
Research Abstract |
本研究の目的は膵癌における癌間質相互作用、特に、膵癌における化学療法抵抗性の主導的な役割を果たしていると考えられる特定の間質細胞群の存在に注目し、これをターゲットとしたさらなるcharacterization とその機能・機序を解明し、その制御を目的としたドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を行ことである。 本年度は以下のことを明らかとした。まず初めに、ヒト膵癌切除標本から10種類以上の膵星細胞を樹立した。樹立した膵星細胞と膵癌細胞株とを間接共培養すると膵癌細胞の遊走・浸潤能は増強し、さらに膵星細胞の培養上清の膵癌細胞への添加実験でも同様の結果を得た。次に、膵星細胞の集団の中でも特に膵癌の悪性度に影響を及ぼす集団のphenotypingを細胞表面マーカーに着目して行った。その結果、CD146をノックダウンした膵星細胞と膵癌細胞を間接共培養すると、対照群と比較して有意に膵癌細胞の遊走・浸潤能が増強することが判明した。この作用を媒介する因子の同定を現在行っているところである。また、膵癌切除組織の免疫組織化学染色では、間質におけるCD90低発現かつSMA低発現の群が、その他のものと比べて予後が良好であることが分かった。このことはCD90低発現群が癌の悪性度を高めていることを示唆するものであり今後はその他の細胞表面マーカーを含めて治療ターゲットとして最適な細胞集団の特定を行っていく予定としている。さらに、免疫組織化学染色などの結果より各表面マーカーごとの異なる癌間質相互作用の分類をすすめ、その細胞集団が膵癌細胞の化学療法治療抵抗性に与える効果を解析していく準備段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化学療法抵抗性の解析に適したヒト膵星細胞および膵癌細胞株の選択にあたって、その解析に最も適した細胞選択に難渋した。ヒト膵星細胞は均一な細胞集団ではなく、ヘテロな機能を持った細胞の集団である。我々は、この膵星細胞におけるヘテロな機能発現が、ギャップジャンクションの発現の差異による可能性を推察している。この可能性を検討するために、数種の細胞表面マーカーに着目し、膵星細胞の集団中でも特に悪性度の高い集団を同定する研究を進めた。現在、数種類の表面マーカーにより分取することで、異なる癌間質相互作用と及ぼす膵星細胞を分類することに成功しており、その膵星細胞における差異を検討する準備段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
既に膵癌由来間質細胞と膵正常組織由来間質細胞を比較したマイクロアレイも施行し、それぞれに特異的な分子を同定している。これらの解析結果より新たな癌関連間質細胞特異的表面マーカーを選択し、手術切除組織からその細胞分画の純化へと作業を進める。膵癌細胞は手術切除標本のバルク組織をコラゲナーゼ処理で単一細胞レベルまで分離し細胞浮遊液をソートし採取するが、これがうまくいかない場合には膵癌細胞株を利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に若干遅れが生じているため。 研究の遂行に必要な主要装置(リアルタイムPCR, 蛍光顕微鏡、遺伝子導入装置、バイオアナライザー、ナノドロップ、FACS機器など)は既に研究室内に設置されている。この他の機器(セルソーター、透過型電子顕微鏡、DNAシークエンサー、共焦点レーザー顕微鏡など)については学内の研究支援センターなどにおいて利用可能であり、研究の遂行に支障はない。 このため研究経費において新たな設備備品の購入は不要である。消耗品として、shRNA/レトロウイルス作成キット(40万円)、siRNA実験器具(10万/2年目)などの購入を経費として計上している。また、研究成果の中間発表の場として国内学会(1-2回/年を予定)の旅費を10-20万円予定している。
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Research Products
(4 results)