2013 Fiscal Year Research-status Report
膵癌に対する化学療法感受性の検討―術前化学療法の確立を目指してー
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25462128
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐々木 隆光 福岡大学, 医学部, 講師 (00382284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Gemcitabine耐性膵臓癌 |
Research Abstract |
① 膵臓癌細胞化株より新たにGemcitabine耐性株の樹立。6種類の膵癌細胞株 (Mia-Paca2, Panc1, SUIT2, KP2, KP4, KP8)を用意した。各々の膵癌細胞株をIC50値の濃度のGemcitabine で6ヶ月間培養をおこなったところMia-Paca2のみがGemcitabineに対して耐性を取得した。 ② Gemcitabine耐性株の表現型や浸潤能の変化。親株と耐性株の表現型、増殖能、浸潤能の検討をおこなったところ、Mia-Paca2耐性株の表現型は親株と比して、紡錐形を呈していた。Mia-Paca2耐性株の増殖能は親株の51.7%であった。しかしマトリゲルを用いた浸潤能はIC5濃度Gemcitabine添加下でおよそ7倍を示した。 ③ 表現型や浸潤能に関与する遺伝子を同定。Mia-Paca2耐性株と親株をDNA Microarrayで比較検討すると、耐性株においてMAST4やPDE1の強発現、変異KRASシグナルの異常を同定した。またMiaPaka2は3次元浮遊細胞では耐性化が起こり、2次元培養では致死量のGemcitabineの効果が減弱することもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の初年度計画とおり、新たなGemcitabine耐性膵臓癌細胞化株の樹立に成功している。さらに、Gemcitabine耐性株の表現型や浸潤能の変化を検討して、関与する遺伝子を同定できている。それに基づき、次年度の研究目標が立てられており、したがって概ね順調な進行状況と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
① 変異KRAS阻害剤の膵癌細胞株およびGemcitabine耐性株への効果検討。既に同定している生体類似3次元環境にて変異KRASが制御する遺伝子群が関与するシグナル経路のなかで、耐性株の増殖に強く影響しているものを探索する。先行実験として、変異KRASが3次元培養特異的に発現を上昇させるPDE阻害剤Resveratrolを用いたところ、Gemcitabine耐性株に対しては3次元浮遊細胞においても強い効果を示すことがわかり、今後TGFB経路の低分子阻害剤(LY2157299)などのKRASシグナル経路阻害剤の効果を検討する。 ② 切除境界型膵癌に対する初代培養法(3次元浮遊培養法)の確立。3次元浮遊細胞システムは既に確立しており、特徴として非接着性の丸底ディッシュを使用することで、少量の検体からの連続希釈により、シングルセルからの3次元浮遊培養がリアルタイムで行えることである。さらに薬剤効果判定は約1週間未満で行うことができる(論文投稿準備中)。術前の生検組織検体からの初代培養法を確立する前に、まず術前補助化学療法を行っていない検体を用いて、3次元初代培養を行い、GemcitabineやResveratrolの効果を判定後、実際に術後補助化学療法を行った患者のアウトカムと比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画より、目標のGemcitabine耐性膵臓癌細胞株の作成が順調に進み、設備備品費および消耗品費がかからなかったため。 次年度以降は、計画とおり設備備品費および消耗品費が必要になる見込み。加えて、学会発表や論文作成にも費用がかかる見込み。
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