2013 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患外科治療におけるポリテトラフルオロエチレン製肺動脈代用弁の研究
Project/Area Number |
25462141
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
宮崎 隆子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90405291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 正明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40182422)
前田 吉宣 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20438203)
谷口 智史 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80438209)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺動脈代用弁 / ePTFE / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
先天性心疾患の外科治療における代表的手術法である右室流出路再建術時に肺動脈代用弁が必要とされるが、本研究ではその代用弁を良好な組織適合性を有するポリテトラフルオロエチレン (PTFE) を用いて作成した。本弁では長期的に良好な弁機能保持を目的とし、生体内の弁が本来有するバルサルバ洞を模した膨らみ(sinus)と扇形の弁尖をデザインすることとした。 膨らみ(sinus)の作成は、PTFEは熱により変形固定されることを利用して、筒状で3個の孔があいた独自に作成した器具の内側にPTFE人工血管を置き、さらにその内側から加圧することでPTFEが圧せられ、外筒の孔から膨らむことにより行った。PTFE人工血管内側には0.1mm 厚さのPTFEシートを扇形状とした弁葉を縫合した。この弁葉のデザインとしては、弁逆流を防止するために3弁がきれいに接合するように考慮した扇形とした。 従来はPTFE人工血管を一度切り開いてシート状として膨らみ(sinus)を作成の後、弁葉を縫着してから再度筒状としていたが、本研究では人工血管を筒状としたまま膨らみ(sinus)を作成することに成功した。約600個の旧型および新型の本弁は本邦におけるのべ63施設に使用されたため、各施設において心エコーもしくは心カテーテルによる弁逆流、弁の可動性および弁位部狭窄の有無および再手術や生命予後について評価していただき、アンケート形式で回答を得たので解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実験計画として、我々が考案した器具を用いてPTFE人工血管に膨らみ (sinus) を形成し、内側に0.1mm 厚さのPTFEシートを扇形状とした弁葉を縫合する。臨床研究として、本邦における本弁使用施設にアンケート形式で、心エコーもしくは心カテーテルによる弁逆流、弁の可動性および弁位部狭窄の有無および再手術や生命予後について評価することをあげており、その計画は達成されている。 同時にPTFE人工血管に作成する膨らみ(sinus)の深さを2.5mm、5mm、7.5mmとしたものを準備し、従来の形態の扇形状弁を縫着、ブタを用いた動物実験および循環モデルで流体力学的な弁特性を検討して、どの深さのsinusが肺動脈弁として理想的な特性を有するかについて検討することもあげているが、膨らみ(sinus)の深さを変えた弁は作成済みで、現在その実験準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点における、膨らみ(sinus)の深さを5mmとしたものでの臨床データー解析ではおおむね弁機能は良好に保持されていることが判明しているが、今後は最適な膨らみ(sinus)の深さについて実験を進めたい。また、弁葉のデザインとしては、弁葉の大きさの違いによる弁機能の評価は未実施であるので、今後は最適な弁葉のデザインの追求に努めたい。
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