2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462150
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
坂本 俊一郎 日本医科大学, 医学部, 講師 (50398872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 嘉之 日本医科大学, 医学部, 助教 (80445791)
廣本 敦之 日本医科大学, 医学部, 助教 (80465327)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心房細動 / 心房間伝導路 |
Research Abstract |
本研究は左右心房間の電気的興奮を伝える心房間伝導路を介する心房細動のメカニズムに対して、伝導路を調整することで心房細動の抑制効果が得られるとの仮説をもとに行われている。平成25年度前半に心房電極の作成を行い、マッピングコンピューター上の3Dモデルを作成した上で、後半に犬を用いた実験を開始している。平成25年度は人工心肺を用いずに心外膜面でのマッピングを行い心房間伝導路を同定、そして心外膜面の主要な伝導路(bachmann束、冠静脈洞)を順次、高周波アブレーションによる焼灼を行い伝導調整を行った。心房間伝導パターンの解析および心房細動の誘発および持続時間を測定したところ、Bachmann束アブレーションは心房間の伝導を心外膜にて局所的ブロックしてはいるが、心房中隔その他を介して伝導し、興奮伝導時間に影響を及ぼさなかった。これは焼灼深度は全層性とはならず心外膜面側にとどまることが示唆された。伝導パターンは不応期にいたるまで変化は生じなかったが、心房細動時には伝導がブロックされ、心房細動持続時間の減少がみとめられている。これは心房細動時のフィルタリング効果が生じているものと考えられた。冠静脈洞へのアブレーションも同様の効果が示唆される所見があり、心房の興奮パターンまたは心房細動の興奮パターンにより心房間の優先伝導路が決まり、またBachmann束および冠静脈洞への心外膜アブレーションは洞調律時の伝導を抑制せずに、心房細動時のみ、どちらかが優先伝導路としてフィルタリング効果をもたらす興味深い所見がえられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は人工心肺を用いて心内膜面の伝導興奮パターンも解析する予定であったが、主要な心房間伝導路は心外膜面に存在することから、心外膜面へのアブレーションが最も重要でかつ最適な手法と判断されている。アブレーション方法およびアブレーションの深達度が興味深い結果をもたらしたことは予想外であったが、本実験の仮説に近いデーターが得られた点で意義があり、研究がおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は実験手法に変更はないが、心房間伝導調整の点で、主要な伝導路であるBachmann束のアブレーションが心外膜面のみの伝導抑制であり内膜面、特に心房中隔への伝導は抑制されていないことを調べる必要がある。このためには当初予定していた心内膜面でのマッピングを行い、中隔伝導パターンを解析する必要がある。また、心外膜面への高周波アブレーションの深達度を評価するためにも実験終了後に組織染色を行う予定である。心房細動時の優先伝導路の同定については興奮伝播のみならず、左右心房の周波解析も行う予定である。 平成26年度内に本研究成果の一部を学会発表を行うことを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金が生じた理由として、前半を実験準備としての電極作成に時間を要し、本実験のスタートが遅れた点、さらに実験方法として人工心肺を使用しなかったため、体外循環回路など幾つかの物品費用を要しなかったことが考えられる。 当該助成金は平成26年度における実験の追加物品(心内膜電極の作成および人工心肺回路)へと使用予定である。
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