2013 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化巣における老化制御遺伝子BubR1の役割とその分子機序の解明
Project/Area Number |
25462164
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 拓也 九州大学, 大学病院, 助教 (20374168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 亮大 九州大学, 大学病院, 助教 (00529860)
前原 喜彦 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80165662)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | BubR1 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
多くの血管病変は、加齢とともにその罹患率が増加し、年齢そのものが重要な危険因子となっている。近年、老化に伴う血管平滑筋細胞の機能異常に活性酸素(ROS)や細胞周期異常の関与が示唆されている。細胞周期M期(有糸分裂)を制御する紡錘体形成チェックポイント蛋白BubR1(Budding uninhibited by benimidazole)の発現を低下させたマウスでは、若年より平滑筋細胞の減少や活性酸素(ROS)の産生増加といった老年期に起こる血管異常を認めている。また、Matsumoto,Kyuragiらによる解析では、平滑筋細胞の減少は、BubR1の発現量に依存することがわかっている。BubR1の発現量が、25%程度に減弱したマウスでの表現系は、正常であるが、11%程度に減弱したマウスでは大動脈平滑筋細胞数の減少、大動脈の線維化、白内障などを認める。また、Matsumoto,Guntaniらによる解析では、ヒト大動脈動脈硬化巣では、正常大動脈に比べBubR1の発現量は低下していることが分かった。そこで今回我々は、動脈硬化を惹起するApoE欠損マウスとBubR1の発現が低下しているマウスを交配させ、BubR1H/H-ApoE knockout mouseを作製し(作製済)、BubR1の動脈硬化巣への影響を検討する。実験の意義はBubR1が動脈硬化改善に向けた標的因子としての可能性を寄与できるかどうかを探ることである。そして本実験の最大の目的は、ヒトの血管の老化を予防し、動脈硬化による血管イベントの発生を抑制することに貢献することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ApoE-/-マウスとBubR1H/H-ApoE-/-マウス各種♂マウスに8週齢より16週間高コレステロール食( Research Diets INC. D12108C Protein 20.0%、 Carbohydrate 40.0% 、Fat 39.9% (%)カロリー、Cholesterol 1.25%(重量比) )を投与した。 【血清生化学検査】 ApoE-/-マウス(n=9)とBubR1H/H-ApoE-/-マウス(n=10)とで血清総コレステロール値に有意差は認めなかった(それぞれ838.9mg/dl、1008.6mg/dlでありp値=0.547)。また、同様にLDLコレステロール及びHDLコレステロール値も両者に有意差は認めなかった。 【En faceによる動脈硬化の割合】 ApoE-/-マウスとBubR1H/H-ApoE-/-マウスの大動脈を観音開きにして、ズダンIII染色により、大動脈全体に対する動脈硬化の割合を比較した。ApoE-/-マウス (n=4) BubR1 H/H-ApoE-/-(n=5) p value=0.0415で有意にBubR1H/H-ApoE-/-マウスの方が動脈硬化が低下していた。
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Strategy for Future Research Activity |
BubR1H/H-ApoE-/- mouse とApoE-/-mouse に上と同様に高コレステロール食を与える。 心臓大動脈根部での動脈硬化巣に対する平滑筋、膠原繊維、弾性繊維、マクロファージに対する免疫染色を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた細胞周期関連因子BuBR1が動脈硬化に与える影響を調べる実験が当該年度では終わらなかった為。 今後も、大動脈や心臓におけるマクロファージや平滑筋に対する免疫染色や、各種臓器に対するBubR1のみだけでなくApoEに対するリアルタイムPCRも行う予定である為、139,493円をその研究に必要な試薬、動物実験等に使用する。
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Research Products
(1 results)